163 / 172
第163話
ギラギラと空が輝く。
(ここに空なんてないのに)
天井のシャンデリアよりも、もっと光る。
ガラスのようで、飴細工のようで、陽光のもとで風に舞い、崩れ散る樹氷のような……
高貴で不気味で異様な光が、サラサラと降り注ぐ。
「ただの現実だ」
ささめく雪に混じって声が舞う。
「お前達は現実を知らなさすぎた」
圧倒的な力を前に、誇りなどおこがましい。
「這いつくばれ」
強烈な上からの力に騎士達が膝を折る。
床に膝を折り、伏した騎士達から凍りついていく。
「お前達に取り返せる誇りなど1ミリもないと記憶せよ」
誇りを持つ事さえ許さない。理不尽な力の暴挙が氷の柱となって押し寄せる。
上から、下から、左右から、正面から、背後から。
次々に騎士達が氷の彫像と化していく。
「羽虫に後悔する時間は与えぬ」
「隊長ォッ」
朱獅子隊隊長が氷の彫像と変わる。
せめて膝を屈しなかったのは、騎士の意地か。叫んだ騎士も氷の彫像と化した。
「羽虫はあと何匹だ?」
「黙れ!魔物!」
「小五月蝿い羽音が耳障りだな」
紫狼隊隊長が凍りつく。
このままでは全滅する。
ともだちにシェアしよう!

