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第7話 初めての

 暮れる日を眺めながら食事と酒と会話を楽しんだあと、杏が布団を敷いてくれた。  だが、今日は一組だけだ。  その事実に渉はまた真っ赤になって黙ってしまった。    正座を崩して座り、揺れる灯りをじっと見ていると、後ろから優しく包み込まれた。  穂積とは頭一つ半ほど体格が違うため、彼が尻をつけて座っても渉がすっぽりと腕の中に収まる。  穂積も無言で、しばらくそのまま灯りを見ていた。  ぴたりと密着した背中からは穂積の鼓動が伝わってくる。  渉と同じで少し速い。  神様だから余裕があるのだと思っていたが、どうやらそうではないようだ。  それが渉には嬉しかった。  渉が気を緩めたのがわかったのか、穂積はするりと渉の正面に座り直し、固く握りしめ膝の上に置いていた手に自身のそれ重ねた。  渉を見つめる萌葱色の瞳には、静かな欲の炎が揺らめいていた。  それを認めた途端、体が一気に熱くなった。   「渉の純潔を散らす栄誉を、私がいただいても?」 「穂積がいい。穂積じゃないと嫌だ」 「ありがとうございます」  渉は穂積に軽々と抱えられ、布団の上に押し倒された。  見上げると視界いっぱいに広がる彼の顔に普段の穏やかさはなく、渉をすべて喰らおうと獣の顔をしていた。  だが、不思議と怖さは感じなかった。  むしろ、未知への期待がどんどんと膨らんでいく。 「愛しています、渉」 「俺もだよ、穂積」  吐息が混じり、唇が重なる。  最初は鳥が木の実を啄むように戯れていた。  それが段々と湿りを帯び、開いた唇の隙間から穂積の舌が渉の口内に侵入してきた。  穂積の舌に合わせて必死に舌を伸ばせば、舌同士が擦れ合い背筋が粟立つ。  舌が絡み合い、吸われ、食まれる。  時折深く舌を押し込まれ上顎を擦られれば腰が跳ねる。  渉は覚えたての口吸いに夢中になった。  口吸いに気を取られている間にしゅるりと帯を外され着物が肌蹴られる。  この一年でようやく人並みに肉がつき日焼けした肌は温泉の効能で滑らかだ。  そして、絹の手触りがする体は神子独特の造りをしている。  骨ばった肩に平らな胸。  くびれのない寸胴の腹回り。  そして、黒い繁みに隠された秘部。  穂積は自身の着物をすべて取り去ると、口吸いをしながら渉の体をくまなく愛撫した。  形の良い耳をこしょこしょと擽られるたびに形容し難い感覚が全身に走り、首筋を舐められれば堪えきれない声が上がる。  胸にある小さな粒を爪で弾かれると、股の奥がきゅんと疼いた。  疼きは穂積の指や唇が這うたびに増していく。  もじもじと股を擦り合わせるがどうにもならない。  渉は膝を擦り合わせながら腰をくねらせた。 「んっ……あっあっ、ほづみぃ」 「なんですか?」 「なんか、変だっ……」 「気持ちいい、ですよ」 「気持ちいい?」 「そうです」 「じゃあ、ここもっ……ここ、触って……」    疼きを我慢できなかった渉は、穂積の手を股の絹毛の奥へと導いた。  そこは興奮してしとどに濡れていた。  快液が媚肉から垂れ、繁みだけでなく体の下敷きになってる着物までも濡らしていた。 「ああ、こんなに濡れて……」  穂積は恍惚とした表情を浮かべた。  とろりと溶け出す激情が滴り落ちる。  それを全身に浴びて、どうして我慢ができようか。  腰がびくつきとろりと愛液が溢れ出る。  渉は愛の雫を纏った穂積の指を掴むとそれに秘部を押し付けた。 「早くここ、触って……」 「仰せのままに。私の愛しい子」  穂積の指が花びらの縁をなぞり、ぷっくりと主張している秘核の周りを焦らすようにくすぐった。  甘蜜に濡れたそこに優しく触れられているだけなのに嬌声が止められない。 「んっ……あ、ぅ……」 「声、もっと聞かせてください」  噛み締めていた唇を口吸いされ、舌で唇をこじ開けられる。  途端、堰が切ったように甘やかな声が出た。  穂積は口角を上げ、渉をさらに高みへと押し上げていく。  内腿をなぞったかと思うと両足を腹側に割り開いて渉の秘部を眼前に晒した。  そして、彼は躊躇いもなくそこに顔を寄せた。 「渉のここはとても綺麗で愛らしい。とても美味しそうです」 「なっ……何を?」  渉が真意を問う前に、穂積は渉の肉芽を隠す額を丁寧に押し上げて剥くと舌で舐め上げた。   「ひっん……!」  突き抜ける快感にぶわりと涙が溢れた。  穂積の柔らかな髪を掴んでいるというのに、彼はお構いなしにそこを舐る。  優しく舐めたかと思えば、固くした舌でぐりぐりと押し潰し、きつく吸い上げる。 「あっ……ああっ、んぅ……あ、穂積っ……」 「ん、ふっ……」 「んっ……ひあっ、何、なかっあああっ!」  渉が官能の芽の刺激に夢中になっていると、快楽の液を纏った穂積の指がそっと蜜壺に潜り込んだ。  そこは初めての客を歓迎するように蠢き、帰さないとばかりにきゅうきゅうと指にしがみついた。  肉芽への刺激に合わせるように緩やかに抜き差しされ、探るように指の腹でくまなくなぞられる。  腹側をなぞられたとき、一際大きく腰が跳ねた。 「穂積っ……そこ、やっなんか……」 「ここ、少しざらついています。ここが気持ちいいんですね」 「ふっえ……? あ、待って……!」 「その待っては聞けません」    少し強く押されながらそこを撫でられると、じわじわと快感が広がっていく。  ぴんと勃った可愛らしい愛粒も一緒にぐりぐりと刺激されれば、開かれた足が断続的に震え始めた。  込み上げてくる未知の感覚が全身に回り、また腰に戻ってきて弾けそうだ。 「やあっ……待って、待って、なんかくるっ出ちゃう!」 「いいですよ。全部、私にください」  制止は聞き入れられず、甘やかな刺激が与えられる。  渉は失禁しそうなおかしな感覚に涙を流し、だが快感の奔流に逆らうことはできなかった。 「出るってばっ……本当に、あ、あっ……だめ、くるっくるっ……んああああああっ!」  プシッと淫欲の花蜜が噴き上がり、視界が白くなって体が何度も跳ねる。  一瞬、ここじゃないどこかに飛ばされたような不思議な感覚に渉は呆然と天井を見上げた。  そこにぬっと穂積が現れた。 「渉、私の可愛い渉。ああ、なんて気持ちよさそうな顔をしているのでしょう」 「穂積……俺、なにが起きて……?」 「気をやったんですよ。気持ちよかったですか?」 「うん……」 「渉が愛らしく啼くので、私もこれ以上我慢がききません」  穂積が流れるようにするりと着物を脱ぐと、白く滑らかな肌が顕になった。  薄いと思っていた彼の体はどこも僅かに肉が盛り上がり、腹にうっすらと線が走っている。  視線を下に向ければ、そこには立派な陽物が栗色い繁みを突き破りそそり立っていた。  白い肌とは裏腹に血管が浮き出て赤く熟れた猛りは、その鈴口から溢れる滑りで濡れている。  見た目は凶悪な楔ではあるが、彼の鼓動に合わせて小さく跳ねる様子はなんとも愛らしい。  渉はそっと手を伸ばして触れる。  熱く弾力のあるそれは、渉が触れると一気に固さを増した。 「これ、俺も舐めてもいい?」 「嬉しい申し出ですが、それはまた今度。今は早く渉のここに入りたいです。いいですか?」  穂積は熱い吐息を漏らしながら渉の赤い花びらをねっとりと撫でた。

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