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第3話 そんなの嫌!
唇を食んで、噛んで、舌を口内に捩じ込む。
互いの体温を、存在を確かめ合うようなキス。
激しい水音は、それまでの苦しみを解放する、始まりの合図なんでしょう。
「もう、何も言うな」
キスの合間、息も絶え絶えに告げたジャスパーの願いに、ラウディは再びキスして応えたわ。
二人は唇を貪りながら、ローションでぬめる体をじっくりと愛撫していく。
首筋を、肩を、胸を。
「ん、ふッ……」
乳首を爪で引っ掻かれたラウディは、くぐもった喘ぎを漏らす。
色気に当てられたジャスパーは、ぬめるそこを今度はつねったわ。
そしたらね、ラウディはもどかしいと言わんばかりに腰を押し付けて揺するの。
触れ合った大きなふたつの屹立はヌチヌチといやらしい音を奏でる。
「はぁッん……!」
ベッドとラウディに挟まれたジャスパーは、ラウディに押し潰される度に「ふッふぅッ……」と鼻息を漏らし、キスの息継ぎで艶やかな声を上げるの。
ラウディも余裕なさそうだったけど、ジャスパーの方が感じていることが丸わかり。
上擦った声は、愛し合っている者同士なら劣情を煽るわ。
ラウディはしっかりと煽られて、ジャスパーの口内を激しくかき混ぜ、引き締まった腰をつぅ……と撫でる。
すると、ジャスパーは負けじとラウディの胸を揉みしだく。
ばっちりと開いている二人の目は、感じている互いの姿を写しているの。
そして、艶やかな最愛を脳裏に焼き付けていく。
一瞬たりとも見逃さないって思っているのがよくわかるわ。
ラウディは腰を上げ、ジャスパーの体をなぞる指を滑らせてお尻に触れた。
その双丘の間にある窄まりを優しく撫で押し、柔らかくなったそこにゆっくりと指を沈める。
「あ……」
アタシが洗浄しているから、中はピッカピカよ。
ラウディはローションを纏った指で媚肉を揺すり、入口の筋肉を解していく。
最初は慎重だった指の動きは、次第に激しくなっていったわ。
そして、解れ始めたお尻を探るようにして、そこを刺激する。
「んぁッ……あ、あ……!」
言わずもがな、前立腺よ。
そうそう、押さえるように撫でれると堪らないわよねぇ!
ジャスパーはとろりと快感に酔いしれ、もっと言わんばかりに腰で指を追っていく。
はぁあああ!
その腰の動きといったら、なんて艶かしいの!
腰の動きに合わせて揺れるジャスパーの怒張は、先端から透明な欲の証を溢し、ローションまみれのお腹に飛び散らせている。
いいわよ、もっとやって!
「もうッ……挿れろ!」
慣らし作業さえもどかしくなって白旗を挙げたのはジャスパーだったわ。
ようやくね!
だって、摩訶不思議なこのアタシ、セックスしないと出られない部屋特性の媚薬ローションを引っ被っているのよ。
そんじゃそこらの媚薬より強烈だわ。
「言われなくても」
催促されたラウディは、ジャスパーの中から指を引き抜き、ビキッと血管を浮き上がらせている太くて長いモノをそこに充てがった。
そして、ズッズッ……と少しずつ楔を打ち込んでいくの。
「うッ……ん゛……ッ、ゔ……!」
ラウディの顔は快感を必死に堪えている。
本当は一気に繋がりたいんだろうけど、少し苦しそうな声を上げるジャスパーの体を気遣って、ゆっくり腰を進めているのね。
こんな時でさえ、自分の欲より相手を優先させるところ、ポイント高いわ!
ジャスパーがラウディの長い屹立をすべて飲み込み、動きを止める。
ぽたり、とジャスパーの頬に落ちたのはラウディの汗。
それはジャスパーの汗と混じり、ローションまみれのシーツへと滑り落ちた。
見つめ合い、荒い息をまた重ねる二人。
舌を絡め、ざらついた感触を味わっているのね。
すると、切なげな声が二人の唇の間から溢れる。
ラウディもジャスパーも、もう限界よ。
二人は堪らず腰を動かし始めたわ。
ラウディのストロークに合わせて、ジャスパーが腰を上下に動かす。
激しい動きは、激しい水音を連れてくる。
グチュッヌチュッと卑猥な音と、激しい呼吸音。
「ジャスパー、ジャスパーッ!」
「あ、あ……ラウディ!」
そして、切なく名前を呼び合う声。
愛おしさが溢れた叫びを聞くのは、二人とアタシだけ。
一段と腰の動きが激しくなったわ。
ラウディもジャスパーも余裕をなくし、互いの熱を追い立てていく。
「いッ……イク、イク……!」
「俺も……ふっ、く、ぅ……!」
腰をビクビクと痙攣させ、ラウディはジャスパーの中に、ジャスパーは自分のお腹の上に白濁を吐き出した。
息も整っていないと言うのに、やっぱり二人は唇を重ねるの。
わかるわ。
キスって気持ち良くて、満たされた気持ちになって、息苦しくなっても続けたくなる中毒性があるものね。
やがて、ゆるゆると白濁を出し切ったラウディがジャスパーの中から自身の分身を引き抜いた。
名残惜しいと糸を引くジャスパーの後孔とラウディの屹立。
濡れたそれはとってもエッチだわ。
ラウディがジャスパーの隣に倒れ込み、甘えるように腕に手を絡める。
あら、甘えん坊なのね。
「休憩は?」
「いらん。早くお前が欲しい」
ラウディに甘く囁いたジャスパーは、返事を聞いて舌舐めずりをした。
え、待って待って!
さっきまであんなに可愛い顔をしていたのに、今は雄味溢れる顔をしているの。
それってつまり……。
アタシの予想は大正解。
ジャスパーは、ベッドに背を付けたラウディの胸の上で指を踊らせると、つつつ……と焦ったくゆっくりと動かしながら、ラウディの後孔に辿り着いた。
そして、入口を揉んでから指を押し入る。
「はっ……」
ラウディは気持ち良さそうな吐息を溢す。
顔ははちみつみたいに蕩けていて、さっきまで激しくジャスパーを追い立てていた人とは思えないくらい可愛いわ。
ズキュンッと胸を貫かれちゃう。
ても、アタシよりもジャスパーが胸を大きく撃ち抜かれているわ。
性急に後ろを解したジャスパーは、快感で力の入らないラウディの背中に手を差し入れ、抱き起こす。
そして、腰を掴んで持ち上げ、未だギンギンに勃ち上がった怒張を押し当てると、ゆっくりとラウディを串刺しにしていくの。
「ぉ……く、ぅ……!」
「う、あ……」
自重で落ちていく腰は、もっと深くとジャスパーを飲み込んでいく。
すべて入った暁にと、堪え切れなくなったジャスパーは、ラウディの筋肉質な尻を鷲掴みにし、容赦なく腰を振り始めた。
「あ、やばッ……深い!」
「もっと奥、突いてやる、よ!」
ジャスパーはベッドのスプリングを効かせてリズミカルに腰を振る。
トントンッと奥をノックし、その先を目指しているのね。
え、嘘、結腸は開発済みってことですわね?
どれくらいそうしていたのかしら。
グチュグチュッと激しい水音に加え、グポッと音がしたの。
「あぁああああ……⁉︎」
「くっう……や、ばッ……!」
とうとう、結腸を抜いたのね!
ラウディはその快感に耐えられずジャスパーにしがみつき、その背中に赤い爪痕を残していく。
その痛みさえも愛おしいようで、ジャスパーは幸せそうに頬を緩めている。
あぁああ、わかる、わかるわ!
好きな人が気持ち良くなっている姿。
そうさせているのは自分という喜び。
爪の痕は勲章。
幸せの絶頂よね!
「ぁッ……も……!」
「奥に、出すからな!」
「出せ、よ。マーキングッ……しろ」
「一生消せないくらい、な」
グポッガポッと鈍い音を響かせながら交じり合う二人の絶頂はすぐだったわ。
「だめ、だッイク!」
「俺も、いッくぅ……!」
全身汗だくにしながら、二人は淫欲の証を迸らせる。
肌は隙間なくぴたりと重なり、唇もまた同じ。
息を整えながら啄み、小鳥のようなチュッチュッと可愛らしいリップ音を鳴らすの。
ざわり、とアタシの中が違和感を訴える。
ああ、そんな……。
この感覚がきたってことは、この二人はもうすぐここから出ていくっていうこと。
そうなったら、また二人は殺し合う日々に戻ってしまう。
そして、いつか……。
そんなの嫌!
何故、愛し合う二人がそんなことをしなければならないの?
大きな感覚の渦に逆らおうとするけれど、どんなに足掻いてもそれはもう止められない。
小さく囁かれた二人の「愛している」の言葉は、アタシの耳にしっかりと届いたわ。
そして、彼らは秘密の隣室で預かっていた武器や服ごと、一瞬でいなくなったの。
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