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第4話 人間界デート

「ハァ〜〜〜〜〜」  何度目かも分からないため息を吐く。 「もう! 彼ピッピたらデートなのにお顔くらい〜!」  ふざけた調子で隣の悪魔が頬を突いてくる。 「悪魔と契約した上に、無断で現世に来るなんて完全に不良生徒だよ……」 「悪い事の一つや二つ、おんなじだね! はい、アーン♡」  気にしない様子で悪魔がスプーンに乗せたアイスをこちらに向けてくる。コイツは食べるまで押し付けてくるため、こちらが諦めて食べるしか無い。パクりとアイスを口に入れれば、ひんやりとしたバニラアイスがゆっくりと口の中で溶ける感触がした。  ちなみに、今は二人とも人間に擬態している。悪魔は自分の術で人間に見せているとして、私の方はと言うと…… 「『人間姿で私とデートしろ』と命令しろ!?」 「だってそうしないと、人間界で買い物とか出来ないじゃん」  何でそんな恥ずかしい命令をしなくてはいけないのか。いや、これも全てコイツとの契約を解除するためなのだ。仕方がない。 「人間姿で私とデートしろ!」  ……というわけなのだ。ちなみに、二人とも男の姿でデートしている。コイツ曰く、今時男も女も関係ないとの事。最近の人間界はよくわからない。 「というか、そのぶりっこをやめろ」  先ほどからご機嫌の様子でアイスを口に持ってくる悪魔に言う。 「え〜? まあ、契約者様がそう言うならやめるけどさ〜?」  悪魔は不服そうに手を下ろす。 「つうか、デートなんだから名前で呼んでよ」 「お前、名前あるのか」 「アマネっていう素晴らしい名前があるんですー!」 「悪魔らしくないな」 「はぁ!? かっこいい名前だろーがよー!」  ぷくーっと頬を膨らましたアマネを見て思わず笑みがこぼれる。いかんいかん!コイツに絆されるわけにはいかないのだ。 「そっちは?」 「へ?」 「名前、無いの?」 「死神に名前は無いよ」 「じゃあ、シュウって呼んでもいい?」 「なんだその適当な名前」  目を細めて呆れるような顔をして見せれば、アマネはわざとらしく怒った顔を見せてくる。それがなんだか少し楽しい、なんて。 (シュウ……か)  アマネが勝手に名付けたその名は不思議と私の体にすうっと染み込んでいった。

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