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第20話 イチャイチャの先にあるもの※

 あれから僕たちは、毎日SNSでおはようからおやすみまでの挨拶を交わして、毎日の予定を伝えあった。隙間時間に会えそうな時は、カフェで会ったり、時にはお互いの家で一緒にご飯を食べたりした。  お互い家に行けば、勿論そんな雰囲気になるのは当然なんだけど。茂人さんは僕を快楽に堕とすばかりで、無理に先に進もうとしなかった。まるで僕の心の準備が出来るのを待っているかの様で、僕は一人の時間にネットでドキドキする様な情報を辿りながら、どうしたものかと考えてしまっていた。  瞬間的には進みたいと思うのに、実際触れられると身体が慣れない感覚で強張ってしまう。いっそ無理矢理やってくれても良いのでは無いかと願うほどに、茂人さんは困った顔でやめてしまう。  僕は茂人さんの家に誘われている明日の約束が、ついにその時が来たんじゃ無いかと一人考えていた。かと言って自分で後ろの部分を触れても違和感ばかりで、痛みさえ感じてしまっていた。  茂人さんの後ろから慣れた匂いの部屋に入りながら、僕は思い切って茂人さんに抱きついて言った。 「茂人さん、僕もう大丈夫だから。…しよ。最初は痛いかもだけど、僕茂人さんとしたいから。」  少し強張った茂人さんは、ゆっくり振り返って僕を抱き込みながら言った。 「…無理してない?そう言ってくれるのは嬉しいけど。」  僕は茂人さんに唇を押し付けて囁いた。 「怖がってごめん。でも怖いのは経験しないとずっとだと思うし、僕、茂人さんの事信じてるから、いっそ奪ってくれた方が楽なんだ。自分でもこの前少しチャレンジしたんだけど、上手くいかなかった。茂人さんに触れられた方がずっと良かったから…。」  茂人さんは僕をぎゅっと抱きしめて、僕の唇を犯す様なキスをして来た。あっという間に熱くなった身体は、茂人さんの期待も感じて昂ってしまった。  お互いのそれが張り詰めているのを感じて、茂人さんが僕の額に唇を押し当てて笑った。 「俺たち、なんか凄い熱くなってんね。俺、楓が可愛すぎて突っ走らない様にするの頑張るから。それにもう自分でしないで。今日出来なくても、俺が楓をぐずぐずにしたいから。約束して?」  僕は茂人さんに赤面する様な事を言われて、ますますドキドキが激しくなった。頷くのだけが精一杯で、僕たちは浴室へキスしながら移動して、茂人さんから渡されたお尻にいれて綺麗にするそれを受け取った。  2度目のそれは自分で個室に入ってするけれど、初めての時の、茂人さんにされた居た堪れなさを考えるとホッと息を吐いた。  先にシャワーを浴びていた茂人さんはすっかり昂っていて、顔を出した僕は手を引かれて、香りの良い泡とシャワーとジェルで準備をされてしまった。これも2度目だったけれど、やっぱり最初よりは慣れていて、僕はこうやって僕自身も覚悟を決めていく気がした。 「とりあえず、ベッドで楓が怯まないくらいは準備出来たと思う。大丈夫?」  僕は茂人さんが優しすぎて、何だか泣きたい気持ちになって抱きついて、逞しい筋肉を感じて言った。 「好き。茂人さんだいすき。だから茂人さんのものにして。」  耳元で甘く息を吐き出す茂人さんは、僕の胸をそっと撫でてて言った。 「もう泣かす。ぐずぐずに泣かす。俺から離れない様に虜にするから。…覚悟して。」  妙に物騒なセリフが聞こえて来て、茂人さんから顔を離すと、茂人さんが凄く嬉しそうに笑って僕を見つめた。僕たちはとろける様なキスをして、足元の何かを転ばせながらベッドへとダイブした。  茂人さんの悪戯な指先にいじめられた胸の尖りは、すっかり硬くしこって、僕は甘える様にもっとして欲しいとねだった。僕の手は時々茂人さんの昂りに触れようと動くのに、その度に茂人さんに阻止されてしまった。 「楓は手は上にして。縛ってもいいけど、それはまた今度ね。今日はじっくり堕とすから、任せて。」  そう舌を伸ばして僕の胸を突きながら囁く茂人さんの言葉に、僕は思わず自身を震わせてトロリと濡らした。茂人さんはそれに気づいて、楽しげに笑って言った。 「楓はちょっといじめられると感じちゃうのかな。俺だけが楓のそこら辺も開発出来るとか、ご褒美なんだけど。」  僕は恥ずかしくて顔が熱くなったけど、でもその言葉にますます追い詰められた気がした。僕自身も知らなかったあれこれを、茂人さんによって暴かれるのは只々嬉しかった。  茂人さんが手にたっぷりジェルを垂らすのを、ぼんやり見つめていた僕は、茂人さんの唇に僕自身を可愛がられたのを感じて、目を閉じて甘い息を吐いた。同時に少し暖かい感触のぬるついたジェルで僕はゆっくりと撫でられて押し込まれた。  自分でするのとは違う、優しい動きは痛みなんてなくて、少し慣れたのか僕も力を抜いて協力出来ている気がした。 「いい子。楓上手だよ。そう、息吐いて。」  茂人さんの催眠術にかかった様な気分で、僕は茂人さんの長い指を、気持ち良さと共に奥まで受け入れた。ああ、これだけで何だか感動ものなんだけど。そう思った次の瞬間、僕は飛び上がる様な強い快感に目を開けて喘いでいた。  ああ、今日僕、頑張れる気がするよ、茂人さん。

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