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※第5話
ミカエルは僕の顎を掴むと、瞳を覗き込まれた。
「僕の名前はミカエルでしょ」
「……ミカエル」
おずおずと彼の名を呼ぶと、ミカエルは満足そうに笑って僕の髪を撫でた。
「そう、いい子だね。ほら、早く服を脱ぎなよ」
「うるさいなぁ」
ムードも何もない。ためらいながらスラックスを脱ごうとすると、ミカエルが腰に手をかけてきた。
「さっさと脱ぎなって」
下着ごとずり下ろされ、性器が露わになってしまう。思わず両膝を折って、それを隠そうとした。
(う、恥ずかし……)
ミカエルが手の平を天井に向けると、何もないところから小瓶が現れて、彼の手の上に転がる。
(え、なに? 手品?)
陰部を隠そうと閉じた足をミカエルは強引にこじ開けると、その中心部に向かって小瓶を逆さまにひっくり返した。とろみのある液体が陰茎を濡らす。ひやりとした感触に僕は呻いた。
ミカエルは僕自身を柔らかく握り、液体を広げるように指を絡ませる。
初めて他人に触られた興奮とぬめりも手伝って、気持ち良さに肌が粟立つ。
「わ……あッ、やめッ……」
こんな子供のような天使相手にはしたなく喘いでしまい、恥ずかしさに顔が熱くなる。声を我慢しようとしたが、それを咎めるようにミカエルは先端に押し入るように爪を立てた。ピリッとした痛みが怖くて、思わず腰を引いてしまう。
「あんッ……、や、やめてッ」
僕が懇願すると、今度は指の腹で優しく撫でられ、甘い快感が駆け巡る。鼻から甘い声が漏れて、体の力が抜ける。その瞬間を待っていたかのように、指が後孔に侵入してきた。
「ひぃッ」
異物感に僕の入口は押し返そうと力が入る。しかし、とろみのある液体がそれを無意味なものにしてしまう。
それどころか、締め付けたせいで指が入り込んでいるのが分かって変な気持ちになってしまう。
ミカエルの指は僕の中を探るように縦横無尽に動き回る。その指先がとある場所をかすめた時、ビクンと勝手に腰が跳ねた。触ったことはないが知識はある。多分この感覚は前立腺だ。
「あっ、そこ、嫌やッ」
「ふぅん、ここが良いんだ」
(嫌やって言うとんねん)
心の中で叫ぶが、それを口にすることは叶わなかった。
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