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第8話

「この審議どれぐらいかかるん? はよ仕事に戻らな〆切迫っとんねん」 「君って働くのが好きなんだねぇ」 「好きちゃうわ。仕事から離れたら離れたら分だけ、地獄を見るのは自分や」 ミカエルはのんびりした口調で僕の質問に答えた。 「だいたい三百年ぐらいかな」 「さ……三百年っ!!」 「神は総じて頑固者だからね、一度決めたルールを曲げるには時間がかかる」 「かかりすぎやろ!」 「四十八手を使って見せてあげれば、満足してすぐに出られると思うけど。……え? なに? ふーん」 ミカエルは僕には聞こえない神の声に頷くと、その内容をさらりと言ってきた。 「神は『立ち松葉』が見たいって」 「殺す気か!」 立ち松葉はたしか女役が逆立ちになる体位だ。 あれは、セックスというより曲芸に近い。 昔、AVで見た事があるが、その知識がこんなところで役に立つとは。 「わかったわ。やればええんやろ。もう指もチンコも一緒や」 出来れば、普通の体位でお願いしたいところだが、ここまでくればもうやけくそだ。どんなものでも受け入れてやろう。 そう覚悟したが、ミカエルは別の方向から僕を追い詰めてきた。 「もう少し可愛らしくおねだりしてごらんよ」 「ひ、人が歩み寄ったら、いい気になりよって……!」 憎しみを込めて睨めば、天使は人の悪そうな笑顔を返す。 「僕はいいんだよ。このまま三百年ぐらい君と待ち続けたって」 「ロマンチックな事言うとるつもりやろうけど、二百年以上は一人で待つことなるで」 僕は小さく息を吐いた後、屈辱の言葉を口にした。 「ぼ……僕とセックスして……下さい」 「セックスなら、今したじゃないか」 「あ、ちゃう……。あの、ミカエルの……を僕に……」 ミカエルがニヤニヤすればするほど、僕の発する言葉はどんどん小さくなっていく。俯く僕を許さないとでも言うように、顎を掴まれて強引に顔を上げさせられる。 「聞こえないけど。僕の何って?」 琥珀色の美しい瞳。その瞳に吸い込まれそうになり、思わず生唾を飲んだ。今更、胸が高鳴っている。 それは恥ずかしさと緊張とほんの少しの期待だった。 「ミカエルのチンコを僕の尻に挿れて……ください」

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