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第17話
「ベッド行こっか」
手を繋ぎながら寝室に連れて行かれると「おいで」とベッドに座った榊に跨った。鎮まった体温が榊を求めて再び熱を上げる。
まだ濡れたままの髪に手を這わすと榊は眩しそうに目を細めた。
「あの、言わないといけないことがあって」
「なに?」
「榊さんが水族館で金髪の子とデートしてるの見かけました」
瞬間、榊の顔がさっと血の気が引いた。
「嘘吐かれてショックでした」
「ごめん。あのときはむしゃくしゃしてて」
「俺のせい?」
「俺が弱いせいだよ。傷つけてごめんね」
やんわりと抱き締めてくれるとあのときぐちゃぐちゃした靄が溶けて消えていく。すんと鼻を鳴らすと柑橘系の爽やかな香りがした。
海璃の頭に顔を埋めた榊も鼻をひくひくさせた。
「同じシャンプーの匂いだね」
「そうですね」
「なんか自分のものって感じしていいな。ってこんなこと言ったら引く?」
「嬉しいです。早く榊さんのものになりたい」
「……煽るのうまいね」
子どもみたいにくしゃっと笑ったあと榊の目の色が変わった。情欲を煽られるような鋭い眼光に喉が鳴る。
再びキスをされ、遠慮なく舌が入ってきた。そのまま後ろに倒れた榊の上に乗り、後頭部を押さえられてしまい交わりが深くなる。
シャツの隙間から手が滑りこんで赤い突起を撫でられた。まだ小さな粒を引っ掻いたりこねられたりすると固く尖り始める。
「んぅ……んんっ」
「気持ちいい?」
「よくわかんな……あ」
ぎゅっと強くつねられると電気が走ったように身体が跳ねた。初めての感覚に目を丸くしているとシャツをまくられて、乳首を口に含まれた。
先を尖らせた榊の舌が乳輪を辿り、時折粒を吸われるとさっきよりも鮮明に快楽が押し寄せてくる。下腹部が連動するように熱い。
「さっ、榊さん……」
「痛かった?」
痛くない。気持ちよくて怖い。
そう言いたいのに言葉にできなくてオロオロしていると再び乳首を舐められ嬌声をあげた。
身体を入れ替えかえられ、固くなっている性器を撫でられて身震いした。
「触っていい?」
頷くと下着ごとズボンを脱がされ、張りつめた性器が顔を出した。亀頭から先走りを溢れさせ
ている。
じっと見つめられると恥ずかしくて死にたくなる。「あまり見ないで」と太腿を擦り合わせていると榊の喉仏が上下するのが見えた。
榊の大きな手が伸びてきて性器が包まれる。強弱をつけながら擦り上げられ、手の皮の厚さやタコが弱い部分を攻めてくる。
「あぁ、んっ……あ」
鼻にかかる甘ったるい声が恥ずかしい。こんな声一度も出したことがないのに。口を押えると榊の手に阻まれた。
「可愛いから聞かせて」
「やだ……榊さっ、んぁ」
鼓膜を震わせる榊の甘い声に性器が爆ぜてしまった。白濁がシーツに飛び散りシミをつくる。
あまりにも早すぎる限界に眦から涙が零れた。
「はぁっ、はっ……」
「そのまま力抜いててね」
榊は袋からローションを取り出し、双丘に垂らした。冷たさに身体が竦むと「ごめん、ビックリしたね」と今度は手のひらで温めてから蕾に触れてくれる。
「最初は痛いかもしれないから、我慢しないでね」
奥まった箇所を撫でられ、榊の指が入ってくる。自分のとは違い、太くて長い指が難なく奥に挿入ってくる。呼吸を止めないように深呼吸を繰り返していると指の動きが止まった。
「風呂で解した?」
「……ちょっとだけ」
「嬉しい」
榊は相好を崩しキスをしてくれた。お互いの境目がわからなくなるほどのキスをしながら、指はどんどん奥に挿入ってきた。
痛くはない。けれどやはり違和感がある。追いやるように息を吐くと指の動きが変わる。
奥へいった指が入口付近まで戻り、柔らかく押された。足の付根がびくりと震える。なんだこれ、と違った感覚に目を見張ると榊はまたそこを押した。
「ここ?」
「なっ、なに? いや、あっ……んん」
「前立腺だよ。よく憶えて」
しつこくそこを押されると快楽の波が全身に広がってくる。
さっき力尽きたはずの性器がぐんと固さを取り戻し、幹全体を濡らすほど先走りが溢れていた。
指を増やされまた同じ箇所を押される。知らなかった悦楽が榊の手管によって暴かれていく。恥ずかしい、見ないでと何度も訴えてもキスをされるだけで榊の愛撫はどんどん激しさを増す。
「もういいかな」
指を抜かれると蕾がきゅうんと収縮したのがわかる。中にあると違和感はあるのにいなくなったら寂しい。
目を向けると榊がゴムを装着しているところだった。目の当たりにした榊の性器に声が出ない。海璃のより大きくて太いそれが本当に中に挿入るのだろうか。
じっと見つめていると榊は「どうしたの?」と首を傾げた。
「大きすぎます」
「そうかな。もうちょっと解す?」
「いえ、あの、その……」
額に汗を浮かばせた榊は安心させるように笑顔を向けている。狂暴的な性器とは裏腹に榊の表情は柔らかい。
「いまから榊さんが抱いてくれるんだなって」
「怖くなった?」
「嬉しくて。誰ともこんなことできないと思ってたから」
ぽろぽろと泣き出すと榊は笑って頬にキスをしてくれる。大丈夫だよと言われているようで胸がいっぱいで苦しい。
誰にも認めてもらえなかった自分を榊が愛してくれる。こんなにも愛をくれる人はきっとこの先出会えないだろう。
「挿入るね。深く息を吐いて身体の力抜いて……んっ、上手」
榊はゆっくりとした動作で腰を進めた。十分に解された蕾は難なく榊を受け入れるが内臓をつぶされるような圧迫感に息を飲む。
「痛い?」
「……苦しくて」
「こっちに集中して」
榊がキスをしてくれるとその甘さに酔ってしまう。分厚い舌に咥内をなぞられるとぞわりと身体が震える。力が部ける隙をついて性器が奥へと進んだ。
「あっ……ん、あぅ」
「全部挿入ったよ。中熱くて気持ちいい」
「そういうこと言わ……んぁっ!」
榊が腰を前後に揺らし、弱い部分を突いてきた。そこだめと悲鳴をあげても榊はニヤニヤとさせてこすってくる。
榊の律動と連動して自分の性器からびゅっびゅっと先走りを飛び散らせていた。茂みまでしっとりと濡れている。
両足を限界まで開かされ、さらに奥を犯された。ぐちゅぐちゅと卑猥な音とパンパンと肌がぶつかる音に頭がおかしくなってくる。シーツを握る手に力が入った。
「さ、榊さん……好きっ、好きです」
「俺も大好きだよ」
繋がっているのは身体だけのはずなのに心まで一つになったようだ。好きというと海璃以上に好きだと返してくれる。
身も心も過不足なく満たされる充足感に涙が溢れた。
きっと見ているだけでは得られなかった幸福だ。
中の性器が固さを増し、限界が近いらしい。律動が激しくなっていく。
「出そう……一緒にイこう」
「あぁっ……んん、あっーー」
榊が腰を震わせて射精したのがわかった。ゴム越しでもお腹が熱い。
焦点の合わない視界でぼうっとしていると榊が覆いかぶさってきた。汗をかいた背中に手を這わすとしっとりとしている。
首筋に唇が落とされ、そこから鎖骨、胸へと降りてきて嬌声が漏れた。
「いま終わったばっか」
「でも笹岡くんイってないでしょ? それにまだ足りない」
「……嘘でしょ」
中の性器は硬さを取り戻していた。一回だけでこの疲労感なのに榊の体力は底知れないのだろうか。
榊は手早くゴムを変えて、また中に挿入ってこようとする。
でも身体は期待しているのか蕾がひくついている。それを見て榊は白い歯を覗かせた。
「笹岡くんも乗り気だね」
「ちょっと、いや……んあっ、あっ、あ!」
再び榊の性器が挿入ってきて、中をかき乱される。もうこの快楽に溺れるしかなかった。
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