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第14話

「おはよう、湊。親指が痛いだろ?湿布を貼ろうか?」 「自分で出来るから」 「遠慮するな」 「本当に大丈夫だから」 なんとなく予想はしていたけど、起きた時から新の過保護っぷりは尋常じゃなかった。布団から台所に移動するときもすぐに飛んできた。 「おんぶするか?」 「さっきも言ったけど大丈夫だから」 「じゃあ、抱っこするか?」 「子どもじゃないよ」 「俺にとったらまだまだ子どもだ」 「僕のことからかってる?」 「からかってないよ」 「絶対に嘘だ」 「嘘じゃないよ」 愉しげに笑いながらくしゃくしゃと髪を指で弄ぶ新。 恋愛対象にならない?絢斗さんの言葉がふと脳裏に甦った。よりによってなんでこのタイミングで思い出すかな。暖房もついてないのに顔が火照ってきた。 「顔が赤いような気がするけど?」 「気のせいです」 「本当に?」 お願いだから顔を覗き込まないで。そんな至近距離で見つめられたら余計に恥ずかしくなる。意識しないようにすればするほど意識してしまう。まさか陽斗以外の人にドキマギする日が来るとはこれっぽっちも思わなかった。 「ご飯、ついてるよ。まだ眠い?」 ぼぉ―っしていたらまた新に笑われてしまった。 朝御飯は軽めにしておくね、さっきそう言ったはずなのにテ―ブルの上にはご飯の他に焼き魚とほうれん草とツナのオムレツとサラダとクラムチャウダーとキャッシュなど料理がところ狭しと並べられてあった。 ご飯粒を頬っぺから取るとそれを躊躇せずに口に運ぶ新。陽斗と同じだ。朝からドキドキしてしばかりいる。驚くことばかりで心臓に悪い。

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