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第17話
陽斗から何度もメ―ルが送られてきた。返信しようと携帯の画面を見ていたら、
「陽斗なんて?」
新に声を掛けられた。
「七時には仕事が終わるからその足で迎えに行くって」
「七時か……」
小さな声でぼそぼそと呟く新。
「どうかした?」
「いや、なんでもない」
首を慌てて横に振った。
今日の新はなんか変だ。何が変って聞かれても答えられないけど。気のおけない仲だし、ずっと一緒にいるから、新のことならなんでも分かるだろって聞かれるけど、分かることしか分からない。分からないことのほうが多い。中学、高校のときは学校が一緒だったから、それこそ毎日会っていたし、勉強のことや将来のことで悩んだときは黙って僕の話しを聞いてくれた。
陽斗も一緒。いつも三人一緒だった。側にいることが当たり前になっていた新との距離が少しずつ離れていって、気付いたときには会社以外で会うこともほとんどなくなっていた。
雨が急にざぁ――っと降りはじめて、洗濯物を急いでとりこみ、ベランダから戻ってくるときにちょっとした段差につまずき転びそうになった。
「危ない!」
寸でのところで新に抱き留められて事なきを得た。
「ありがとう」
離れようとしたら、ぎゅっと強い力で抱き締められた。
「あ、新」
突然のことに驚いて身動きがとれなかった。
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