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第21話

明日どんな顔をして新に会えばいいんだろう。枕に顔を埋めてうんうん唸っていたら、コンコンと遠慮がちにノックの音がして、 「湊、開けるよ」 陽斗の声が聞こえてきたから慌てて飛び起きた。 「ごめん寝てた?」 「ううん」 顔を横に振った。 「湊、俺のわがままを聞いてもらってもいい?」 「なに陽斗?」 「俺が寝るまで隣にいて欲しいんだ。もしかしたから夜中に湊が帰ってくるんじゃないかって、この三日間はぜんぜん寝れなかったんだ。夜中に目が覚めた時、湊がまたいなくなっていたら、俺どうしていいか分からなくなる。俺が寝たら俺のベットで寝ていいよ。シーツとか全部交換してあるから」 「分かった」 陽斗が嬉しそうな笑顔で隣に移動してくるとごろんと横になった。 「湊、明日一緒に風呂に入らない?」 「え!?」どきっとした。 「なんか久し振りに湊と風呂に入りたくなったんだ。もしかして恥ずかしいの?一緒に遊んで、一緒に勉強して、一緒に風呂に入って、一緒に寝た仲なのに?お互い裸は見慣れているはずだろ?いまさら恥ずかしがってどうするんだ?」 「だってもう子どもじゃないし……」 「ふぅ~~ん」 意味深な笑みを浮かべる陽斗。 「一人で怖いから一緒に入ってって、高校を卒業してからも何度も俺に頼んだよね?あれは何?」 「それは停電して真っ暗になって子どもの頃を思い出したから。大人になっても暗いところと雷が苦手なのはしょうがないと思う」 陽斗がぎゅっと腰にしがみついてきた。 「ちょっと陽斗、聞いてる?」 「聞いてるよ。ちょっと確認したかったんだ。お休み」 何を確認したかったの?聞き返そうとしたときにはもうすでに目を閉じていた。
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