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第43話

お昼の休憩が終わる前に飲み物を自動販売機で買おうと休憩スペースに寄ったら新がいた。同じ営業部の人たちと一緒にいた。なるべく目を合わさないよにしていたつもりだけど、 「湊」 新のほうから声を掛けられた。 「ごめんね。ちょっと仕事が立て込んでて、一緒にお昼を食べれなくて」 「気にしてないよ」 普段となんら変わらない新。笑った顔を見たらなんだかほっとした。 すずかさんとの婚約が白紙になったということを新は知っていた。 「川瀬次長から聞いたの?」 「それもあるけど、陽斗みたいに交遊関係をいちいちチェックされて連絡先を削除されることもないから友人は多いほうだと思うよ。湊は会社以外で会う友人はいないだろ?」 「だって陽斗が駄目だって言うから」 「どこまで心配症で過保護なんだか。湊はもう子供じゃないのにな。立派な社会人なのにな。会社の飲み会のときだってそうだろ?九時には迎えに来るし、早いときなんか八時半の時もあったよな」 「新がいるから迎えに来なくても大丈夫。それにお酒はほんの少ししか呑めないから酔っぱらうってことがないから心配しないでって言ってはいるよ」 「変なのに持ち帰りされたら大変って、俺ってそんなに陽斗に信用されていなのかな。湊は好きだけど、無理強いだけはさせたくない」 新からカフェオレの缶を渡された。 「湊って悩みごとがある時、微糖のコ―ヒ―を無意識のうちに選んでるよね。苦いのが苦手で飲めない癖に。湊って本当に分かりやすいよね、それがまた可愛いんだけど」 新が微糖のコ―ヒ―缶を僕の手からすっと抜いた。
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