51 / 130

第51話

「なんで神様は俺たちを二つの命に分けたんだろう。一つの命だけだったら同じ人を好きになって、こんなに苦しむこともなかったと思う」 「俺と新だけだったら仲がいいんだよ。でも間に湊が入ると嫉妬と独占欲で自分でも訳が分からなくなって、湊をどうしても独り占めしたくなる。だから新と些細なことで喧嘩をするし、湊に優しくしてくれる凱さんと絢斗さんにも焼きもちを妬いて湊を会わせなかったりしたし」 「湊に辛い選択をさせたくないから潔く諦めよう、陽斗と一緒の方が湊だって幸せはず。何度そう思ったか。でも諦めることはどうしても出来なかった。湊、俺と陽斗は二人で一つ。双子みたいなものだと思うんだ。どちらかが欠けたら一人では生きていけない。湊、俺たちと付き合ってほしい。ずっと三人で、一緒にいたい」 「結局美味しいところは全部新が持っていくんだよな」 頬杖をついて、小さい声でぼそぼそ言いながらオムレツを口に運ぶ陽斗。 「聞こえてるぞ」 新がくすりと笑った。 「湊にキス、してもいいよ。俺が許す」 「さっきした」 しれっとして答えると唇に指をつんつんする新。 「はぁ?ふざけるな。俺だって唇にはまだしてないのに」 「唇には?ということは、へぇ~~それ以外はしたんだ」 「だから」 陽斗の顔が真っ赤になった。 「陽斗はいいの?」 「新にはどう頑張っても敵わないよ。湊こそいいのか?俺と新、二人いっぺんに相手にすることになるけど……」 「何を?」 「だから……」 陽斗が困ったような表情を浮かべた。 「天然なのかわざとなのか……」 「湊らしいね」 新が声を立てて笑い出した。

ともだちにシェアしよう!