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第53話

「分かったよ。明日、朝早く家に戻って着替えを取ってくる。湊、それでいいよね?」 「うん」陽斗が決めたことなら反対しない。 「そうと決まったら甘いものを食べよう」 ついさっきまではしょんぼりとしていたのに。新が嬉しそうににこにこと笑っていた。 布団に横になってもなかなか寝ることが出来なくて。眠くなるまで三人でとりとめのない話しをした。明日も仕事なのに。起きれるかな。狭い、もうちょっと端に行けよ。これ以上は行けない。床の上で寝ろって言うのかよ。新と陽斗はなんだかんだいいながらも仲がいい。見ててほっこりする。 二人はやっぱり似ている。仕草や表情が似ている。考えている時の動作や笑顔なども似ている。兄弟だからというのもあるけど似た者同士だ。 何気に二人と目があった。 「そんなに湊に見つめられたら寝れないだけどな」 「そんなに俺たちと一緒に寝たい?」 「見つめていないし、それに………もう、いい。寝ます」 妙に恥ずかしくなって。布団を頭から被ると、 「照れてて、可愛い」 二人の声が見事にハモった。 やっぱり息もピッタリだ。 やたらと心臓の音がうるさい。体も火照ったように熱いし。意識しないようにすればするほど逆に二人を意識してしまって。挙動不審になる自分がいた。 翌朝、なぜか布団の上で目が覚めた。え?なんで?ベットで寝ていたはずなのに。一瞬で目が覚めて飛び起きた。もしかしてベットから落ちたとか?そんなに寝相が悪かったっけ?ベットのすぐ下で寝ていたのは陽斗だ。 すやすやと規則正しい寝息をたてる陽斗を見下ろした。
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