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第57話
まわりからの圧が怖い。チクチクと刺さるような視線が痛い。おどおどしていたら、
「新、帰ろう」
「それもそうだね」
二人が椅子からすっと立ち上がった。
「事後連絡になってごめんだけど、湊が仕事をしている間に部屋の模様替えをしておいたから。あと、今日から三人で暮らすことにしたから」
カフェを出るときに陽斗に言われ驚きすぎて、へ?って思わず変な声が出てしまった。
陽斗が言っていた通り、寝室が昨日とはまるっきり様変わりしていていたからびっくりした。
「陽斗、ここにあったベットは?」
「三人で一緒に寝るには邪魔だからベットは解体して実家に持っていった。あれだけ無駄に広いんだ。邪魔にならないだろう」
「いやいや邪魔になるって。セミダブルを二台も置いていかれたら」
「誰も気付かないって」
「気付くよ、普通」
「普通じゃないからうちの実家。湊も分かっているだろ?」
「それはそうだけど……」
「菅沼さんにひと言言っておいたから大丈夫だよ」
菅沼さんは七海家の執事だ。陽斗が生まれる前からずっと七海家に仕えている。
「菅沼さん元気だった?」
「あぁ。誕生日プレゼントありがとうって言ってた。俺全然聞いてないんだけど」
「ごめん。陽斗に関わるなって釘を刺されたけど、菅沼さんにはいろいろ助けてもらったから」
菅沼さんは六十歳手前。長身でダンディーな男性だ。いまだに陽斗のことだけは陽斗お坊ちゃんと呼んでいる。
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