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第68話
足音を忍ばせて背後からそっと近付きかごの中にチョコレートのお菓子を四つ入れる陽斗。
「おぃ、なにしてんだ」
振り返り様、
「陽斗なんでお前がここにいるんだ?」
驚いたような声をあげた。
「侑大と悠真が好きだろ?これ。親がいない家で二人きりで大人しく留守番をしているんだから褒美くらい買ってあげたら?」
「ち、違うんだ。こ、これは」
慌てて女性を離す吉人さん。
「何が違うの?避妊具入れている時点で無理があると思わない?朝から会議だって新から聞いたけど、間に合うの?」
陽斗が女性をチラッと見た。
「はじめまして。この人の元息子です。で、こっちが」
「はじめまして。元息子の彼氏です」
にっこりと微笑んで会釈する新。即興とは思えないくらい二人は息ぴったりだった。
「あ、そ、そうなんでね」
女性は状況をすぐに把握できず困惑しているようだった。
「この人、既婚者で子どもが四人もいるんですよ。知ってます?まぁ、知っているから付き合っているんでしょうけど、金だけは持ってますからねこの人。首に縄をちゃんとつけておかないとすぐに別の女に乗り換えますよ。新、喉が乾いた。ジュースを買ってよ」
「はい、はい、分かったよ」
陽斗は新の手を引っ張り奥のドリング売場へと連れていった。犬猿の仲なはずの二人がイチャイチャしている姿に吉人さんも信じられないといった面持ちで呆気にとられていた。
レジでまた一緒に並ぶことになり陽斗は女性のハンドバッグについているピンクのストラップを見て何かに気づいた。
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