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第72話

「なんか面白いことになっているみたいね」 「川瀬次長、すごく楽しそうなのは気のせいですか?」 「気のせいよ」 午前中の会議が終わり川瀬さんが経理課に顔を出した。 「一時間で終わるはずが三時間よ。もう一時だしお腹が空いたわよ」 「こんなところで油を売っていないでお昼ご飯を食べてきたらどうですか?お腹が空いているんですよね?」 「新だって人のことが言えないと思うんだけどな」 「俺はこれを出しに来たんです」 新が伝票をひらひらと振った。 「私がアメリカに行っている間、私の大事な湊が変な女にでも捕まったら大変だから松永に見張ってて、些細なことでも教えてって頼んだのよ」 「川瀬次長の大事な湊の相手が俺と陽斗ですみません」 「骨折り損のくたびれ儲けだっては分かっていたのよ。松永にも湊には超が三つつくくらい過保護な幼馴染みが二人も側にいるから心配無用だって言われたんだけどそれでも心配でね。確かに人命救助はしたけどそれにしては話しが出来過ぎているって。私も気にはなっていたのよ」 「気になっているなら教えて欲しかったです」 「だからごめんねってさっきから謝っているでしょう」 ミーティングルームで遅めのご飯を食べる新と川瀬さん。

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