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第79話
「ごめんね」
「なんで謝るの?湊は何も悪くないだろ?良かった間に合って」
新がそっと抱き締めてくれた。
「立てる?」
「それが腰が抜けちゃって……」
「そうか。おんぶしてやるからおいで」
僕の前でしゃがむ新。
「悪いよ。あともうちょっとしたら大丈夫だから」
「陽斗を待たせるほうが悪いと思うよ」
「え!?陽斗が来てるの?」
「今までも湊の帰りが遅いときは心配で迎えに来ていたんだろ?」
「そうだった」
「誰かが110番通報したみたいですぐにパトカーが来たから何事かとみんな驚いていたよ」
新って両方の耳の後ろにある出っ張った骨のところに小さな黒子があるんだ。今まで全然気付かなった。ほんの些細なことだけど新しい発見に年甲斐もなく胸をときめかせながら手を伸ばし、たくましい首にしがみつくと、新がゆっくりと立ち上がった。
「新が助けに来てくれるって信じていたから、なんとか時間を稼ごうと思ったんだけど……力仕事をして鍛えないと駄目だね」
「鍛える必要も強くなる必要もない。湊を守るために俺と陽斗がいるんだから、だから甘えて欲しい」
「うん、わかった」
なんだか妙に照れくさくなってしまって。小さく頷いて新の肩に顔を埋めた。
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