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第83話
「湊ご飯まだだと思って作ってきたんだけど……やっぱり大きなお世話だったよね。陽斗さんの作ったご飯のほうが俺よりも美味しいもんね。時間も遅いし、お邪魔みたいだからそろそろ帰ろうかな」
「親の手料理を喜ばない息子はいないですよ。それに邪魔ではありません。ゆっくりしていってください」
「え!?本当にいいの?じゃあこれ、電子レンジで温めてくるね」
立ち上がろうとした絢斗さんに、
「座っててください」
陽斗がにっこりと微笑んで紙袋を受け取った。
「凱さん、大変。陽斗さんが優しいよ。それに笑いかけてくれた」
「良かったな」
「うん、良かった」
絢斗さんの目から涙が一筋こぼれ落ちた。
「おぃ、おぃ、なんで泣く」
「だっていつも無視されるか、塩対応でしょう?嫌われていると思っていたから、だから嬉しい」
「陽斗はただ単に父さんに焼きもちを妬いていただけ。父さんが湊を溺愛してハグしたりベタベタしたり可愛がりすぎるから陽斗はそれが面白くない。まぁ、俺もだけど」
「えぇ~~新もなの。ショック」
がっくりと肩を落とした絢斗さんを、凱さんが笑いながら見ていたら、
「あのすみませんが、ご近所迷惑になるので声のボリュームを下げて下さい」
陽斗に痛いところをつかれて二人して気まずい表情を浮かべた。
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