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第87話
ピンポン、ピンポンとチャイムが鳴った。
「荷物が届く予定はある?」
「ないです」
「誰か来る予定は?」
「それもないです」
「じゃあ誰だろう」
恐る恐るモニター付きのインターフォンに出る絢斗さん。
「えぇ~~なんでいるの」
すっとんきょうな声が聞こえてきたから何事かと思い慌てて起き上がったら軽い目眩がして身体がふらついた。
「鍵を開けたから入ってきていいよ。ちゃんと鍵を閉めてね」
絢斗さんがすっ飛んできてくれて。体を支えてくれた。
「湊大丈夫?驚かせてごめんね」
「大丈夫です。ちょっと目眩がして……」
「寝てな。その方がいい。ご飯はあとにしよう。凱さん何しに来たの?仕事は?」
「何しにって心配だから湊の様子を見にな。顧客との打合せがこれからあるから立ち寄ったんだ。さっぱりしたりんごと、アイスクリームなら食べれるかなと思ってな」
ぶら下げてきたレジ袋を布団の脇に置いた。
「さっき何て言ったっけ?」
「差し入れ禁止だろ?でもこのくらいはいいだろう」
「陽斗に怒られるよ」
「その時はその時だ」
凱さんはあっけらかんとしていた。
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