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第90話

「お邪魔じゃない?」 「凱さんから同僚と飲んでいると連絡をもらったんです。一人で食べる御飯よりみんなで食べた御飯のほうが美味しいでしょう」 「うん、確かに。でも本当にいいの?」 「何度も聞かないで下さい。座ってていいですよ」 陽斗がエプロンを身に付けて台所へと向かった。 「新、泣いていい?」 「泣いてもいいけど、湊が驚くよ」 「あ、そうか。そうだよね」 髪をくしゃくしゃと掻く絢斗さん。 「相沢さんも熱が出たとかで休みだったんだ」 「そうなんだ。珍しいね、相沢さんが熱を出して休むなんて。平沢さんは?」 思い出したくもない光景が目に浮かぶ。あんな怖い思いをもう二度と経験したくない。 「まだ捕まっていない。警察も行方を探している」 「黒幕はその平沢さんっていう訳じゃないんでしょう?」 「誰かに唆されたと見るのが妥当だと思う。湊の実のお父さん警察官だったしそのせいで逆恨みをされているかも知れないって。父さんが話していた」 「十五年より前だよ。下手したら二十年前とか」 「恨みは一生消えるものではないよ。父さんが一番分かっていることだよね」 新が落ち着いた声で返した。 「うん、そうだね。でも俺には凱さんと可愛い息子が二人もいるから」

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