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第91話
「絢斗さんといい凱さんといい、俺に喧嘩を売ってます?」
むっつりした表情を浮かべる陽斗。
「売るわけないよ。なんでそんなことを聞くかな」
「前から気になっていたので。この際だからはっきり言いますけど湊は」
「分かってるよ。陽斗さんと新のパ―トナ―でしょう?お願いだからそんな恐い顔をしないでよ」
「分かっているならいいんです。これからも必要以上に湊に近付かないで下さいね。分かりましたか?」
「うん……じゃない。はい、分かりました」
絢斗さんの顔がひきつっていた。
「まだ熱があるね。ご飯食べれそう?」
陽斗の柔らかく大きな手が僕の額にそっと触れてきた。
「絢斗さんにりんごをすりおろしてもらったのが美味しかった」
「絢斗さんね。ふぅ~ん、俺が作ったお粥は不味かったか」
「不味くない。お粥ももちろん美味しかったよ。陽斗ありがとう」
起き上がろうとして一瞬めまいがした。
「急に動くからだ。おとなしく寝てろ」
陽斗に体を支えてもらって布団に横になった。
「父さん、よだれ」
「よだれ?」
箸を咥えたままぼぉーっとしていた絢斗さん。新に言われてようやくそのことに気付き、もう、ヤダと顔を真っ赤にしていた。
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