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第97話
「よし、終わり!ご飯にしよう」
パソコンを閉じた絢斗さんに、ずっと聞きたかったことがあるんですと布団に横になったまま声を掛けた。
「え?何?スリーサイズ以外なら何でも答えてあげるよ。新の好きな食べ物とか知りたいの?」
「いえ、違います。今の仕事に就いたのは新のお母さんを探すためなのかなって」
「そうだよって答えたいのはやまやまなんだけど違うよ。新が幼稚園に入園するとき、姉に連絡をしたことがあるんだ。成長した新を一目でいいから見てほしいって頼んだんだけど、姉から返ってきた言葉は……」
そこで言葉を止める絢斗さん。上唇を噛み締めた。
「いらないから捨てたのに、なんでまだ生きているの。私はあなたの母親じゃない。もう二度と連絡をするな。一方的に電話を切られた。新に母親の声を聞かせてあげたくてスピーカーにしていたんだけど、初めて聞く母親の口からまさかそんな言葉が出てくるなんて思いもしなかった。新は小さくてそのときのことを覚えていない。でもそれで良かったんだと思う。母親にはなれないけど俺と凱さんでうんと愛情を注いで新を育てよう。そのとき誓ったんだ。ごめんね、湊。どこでどう間違ったのか、図体はでかいのに中身がお子ちゃまで、焼きもちやきで、かなりこめんどくさい男になってしまって」
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