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第98話
「反抗期もなく、横道にそれることなくスクスクと成長してくれたから、そこは湊に感謝かな」
「僕はなにもしてません」
「してるよ、湊が気づいていないだけで。俺も凱さんも自他共に認める親バカでしょう?新と湊には幸せになってもらいたいから、二人の仲を邪魔する不埒な輩と害をなす輩は徹底的に排除しないと駄目でしょう?だから今の仕事に就いたの。天使面して中身はとんでもないワルかも知れないから、自分が納得するまで対象者を洗いざらい調べる。それで問題がなかったら親としては安心するでしょう」
「そうなんですか?」
「そうだよ。もしかしてドン引きしてる?そんなに俺って変?」
「変じゃないです」
「良かった。お粥を温めてくるからちょっと待っててね」
絢斗さんが立ち上がり鼻唄を口ずさみながらルンルン気分で台所に向かった。
寒くもないのに背筋がぶるぶると震えた。絢斗さんこそいったい何者なんだろう。一番敵にまわしてはいけない人なのかも知れない。はじめて絢斗さんという人が怖いと感じた。
「俺はそんなに怖くないよ。だから怖がらなくていいよ」
「なんで分かったんですか?」
「だって顔を見れば分かるよ。湊が何を言いたいか」
絢斗さんが温めたお粥を運んできてくれた。
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