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第101話

「再三にわたり湊に関わらないでくれと警告はしたよ。あの人に。俺は別に何を言われてもいい。でも今回ばかりはどうしても許せないことが起きてね」 そこで言葉を濁す陽斗。いつもはにこやかな彼が不愉快そうな表情をしていた。 「俺も陽斗に賛同する」 絢斗さんが温めたお粥をトレイに乗せて運んで来てくれた。 「前から聞こうとは思っていたんですけど、絢斗さんは俺と新、どっちの味方なんですか?」 「なかなか難しい質問をするよね。どっちの肩も持つつもりはないよ。新も陽斗も自分のことよりも湊を優先して、とても大事にしてくれるから」 「でも、俺のこと苦手でしたよね?」 「昔だよ、昔。今はもう見直したというか、なんというか」 ギクッとする絢斗さん。しどろもどろになりながらも言葉を返した。 その時だった。 「湊、父さん」 息を切らし新が帰ってきたから心臓が止まるんじゃないか、そのくらい驚いた。 「警察から電話が掛かってきて、それで絢斗さんの携帯に何度か電話をしてけど繋がらないって父さんに言われて様子を見に来た。陽斗も帰ってきていたんだ」 「嫌な予感がしたから」 ぶっきらぼうな言い方で淡々と答える陽斗。 「看過できないな。こっちが黙っていればいい気になって。仏の顔も三度までだ。許すことは出来ない。ぶっ潰す」 さすがの陽斗も今回ばかりはよほど腹に据えかねたみたいで憤っていた。

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