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第105話

僕にしがみついてスヤスヤと寝ている陽斗と新を起こさないようにそっと抜け出そうとしたら、 「どこに行くんだ?」 陽斗に声を掛けられたらギクッとした。 「調子がいいから、たまにはごはんでも作ろうかなって思って」 「俺と新で用意するから湊は寝てろ」 「そういう訳にはいかない」 ゴボコボと咳き込んだ。 「湊の場合、熱が下がっても咳がしばらく続くだろ?酷くなったら大変だ」 「陽斗の言う通りだ」 固く閉じていた新の目蓋がゆっくりと開いた。 「昨夜の湊、耳まで真っ赤で可愛かったな」 「新、変なことを思い出させないでよ」 「変なことじゃないだろ?陽斗もそう思うだろ?」 「あぁ、コミュニケーションは大事だ」 軽く風呂に入ってきたら?と陽斗に言われ、なにも疑わず浴室に向かい体を洗っていたら、服を着たままの陽斗と新が乱入してきた。頭のてっぺんからそれこそ足の爪先まで身体の隅から隅まで綺麗に洗われてしまい……思い出すだけでも恥ずかしくて、思わず両手で頭を抱えてしまった。 「風邪をぶり返すともともこうもないから、ほどほどにって言ったのに陽斗は」 「その台詞そっくりお前に返す」 「は?俺のせいかよ」 唇をとがらせる新。また仲良く喧嘩がはじまった。すっかりお馴染みになった朝の日常の光景にフフッと思わず笑みが零れた。

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