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第108話

「一番上は大変ですね」 「そうなのよ。同じ一番上の新なら分かってくれると信じていたわ」 「川瀬さん、すずかさんは大丈夫なんですか?」 「大丈夫よ。湊、大きなお世話かも知れないけど、彼氏たちの前で女性の名前を出さないほうがいいわよ。あと男性の名前も」 「なんでですか?」 「天然なのか、わざとなのか……ここまでくるとある意味たいしたものね」 川瀬さんが額に手をあてて苦笑いを浮かべた。 「恋愛のれの字も知らないような純粋な湊が、今までよく悪い大人に騙さずにきたものだわ。これだけ可愛いと変態が寄ってきてもおかしくないでしょう」 「俺の目が黒いうちは誰一人湊に近づけさせませんよ。指一本触れさせませんよ」 大きなおにぎりを真顔でたんたんと頬張る陽斗。見た感じそんなに大きいようには見えないけど、新の手は大きくて、僕の手がすっぽりと入る。だから新が握るおにぎりも自然と大きくなるわけで。まさにばくたんおにぎりだ。なかに何が入っているか食べるまでは分からない。 「独り占め陽斗が共有するってことを学んだもの。大人になったよね。お姉さんは嬉しいよ」 「いつから俺の姉になったんですか?かほりさん酔ってます?」 「酔ってないわよ」 川瀬さんはいつになく上機嫌だった。背中をバンバン叩かれて陽斗は迷惑そうにため息をついていた。

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