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第117話
「もう本家の執事ではないんだろ?骨身を惜しまず本家のために尽くしてくれた菅沼をいともあっさりと切り捨てる薄情な人たちにまさか未練があるのか?」
「未練などございません。明日には日本を離れます。それでお願いがあるのですが……」
「すごく嫌な予感がするのは気のせいか?」
「気のせいですよ」
にっこりと微笑むと使い捨てカメラを取り出した。
「てっきり携帯で撮影するのかと思った」
「その場で撮影した写真を確認することが出来ませんので、現像してから写真を見るという楽しみがありますからね」
「それ全部使うのか?」
「もちろんです。二十七枚分撮影させていただきます」
「マジか……」
陽斗と新が同時に呟いた。
「息ピッタリでございますね。仲が良くて安堵しました」
「仲は良くないぞ」
「あぁ、喧嘩ばかりだ」
「そのようには見えませんが」
痛いところをつかれぐうの音も出ない二人。会計を済ませ近くにある公園に移動して撮影しようという話しをしていたら、
「貸し切りだっていうのを忘れたのか陽斗」
と陽斗の知り合いだという店長さんに声をかけられた。
「この時間帯だと西陽がきつくて逆光になる」
「ありがとう」
「俺も撮影したいな。店に飾りたい」
「それだけはやめてくれ。恥ずかしくて来れなくなるだろう」
陽斗が照れ笑いした。
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