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第121話
「凱さんは相沢という名字にピンと来て、履歴書を見て確信して、絢斗さんの勤務先の探偵事務所に素性を調べてもらうように依頼した。養子とはいえ僕も七海家の一員です。相沢さんに恨まれて当然です」
唇を噛み締めて膝の上でぎゅっと手を握りしめると、陽斗と新の手がそっと重なってきた。
「凱さんが絢斗さんと一緒になると決めたとき本家から勘当され、相続放棄して絶縁している。調べればすぐ分かることだ。そうだろ新?」
「会社で会っても挨拶を交わす程度で、会議のときも会話は最低限で、まわりも気を遣ってか社長のことを副社長の兄ではなく親戚の人、そういう風に呼んでいる。コビヤマが赤字続きで経営難になったとき経営を立て直すために経営手腕を買われて凱父さんが呼び戻されたという経緯があるから社長も凱父さんを追い出すわけにはいかないみたいだね」
「息子二人と一緒に仕事が出来ると嬉しそうに話していたよ」
「凱父さんも絢斗さんもかなりの親バカだからね。心配なんだと思うよ。湊は何も悪くない」
「新の言う通りだ。自分を責めるな」
陽斗、新、励ましてくれてありがとう。二人の顔を交互に見ると、にっこりと優しく微笑んでくれた。
「三人ご一緒なら怖いものはありませんね」
菅沼さんが意を決し、なぜ骨壷が隠すように押し入れに入っていたのかぽつりぽつりと話してくれた。
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