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第122話

「これから警察署に行ってきます」 「一人で大丈夫か?」 「はい。友人に付き添いを頼みましたので大丈夫です。証拠もないのに行っても門前払いでしょう。話しも聞いてくれないでしょう。それでもいいんです。幼い子どもを残して亡くなった相沢さんの無念が少しでも晴れれば。では失礼します」 軽く頭を下げると駐車場に頭から停車していた白の軽自動車の助手席に乗り込む菅沼さん。すぐにバックして駐車場を出るかと思ったけどなかなか出発しない。 何かあったのかなと陽斗と新と話しをしていたら、運転席から初老の男性が慌てた様子で降りてきた。 「桜井湊さんですよね?箭内と申します。昔あなたのお父様にお世話になったんです。こんなに立派になられて、お父様もきっと喜んでらっしゃいます」 涙ぐむ男性。 「すみません何も覚えてなくて」 「湊さんが三歳くらいの時に何回か会ったきりなので覚えてなくて当然です。お母様はお元気ですか?」 「実は僕も十五年前に母に一回だけ会ったきりでその後は会っていません。多分ですけどお付き合いされていた方と再婚して幸せに暮らしていると思います」 「そうですか。それは良かったです」 ほっとして胸を撫で下ろす男性。 「箭内さんは両親のことを知っているんですか?」 「仕事でお付き合いがありました」 「そうなんですね」 「お会い出来て嬉しかったです。では失礼します」 男性がにこやかに微笑むと車へと戻っていった。

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