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第123話
―処分しろと命じられた写真と音声のデータを菅沼さんは捨てられずに持っていた。それを警察に提出したみたいだね。警察が動いてくれるかはまた別の話しだけど―
「絢斗さんも気付いていたんですか?」
―この仕事をしているとね、いろんな人生模様を嫌でも見なきゃいけないから、なんとなくだけど気付いていたのかも知れない―
絢斗さんと電話をしていたら、
「湊、風呂に入ってきたら?」
陽斗と新がお風呂から上がってきた。腰にタオルを巻いただけの格好で。
「あれ、服は?」
「持っていくのを忘れた」
「もしかして一緒に入りたい?」
「そうじゃなくて。電話、絢斗さんから」
「ちょうど良かった絢斗父さんと喋りたかったんだ」
携帯を新に渡すと、
「湊、風呂に行くよ」
陽斗に手を掴まれ、そのまま風呂場へと連れていかれた。
「バンザイして」
「一人で脱げます」
「俺の楽しみを奪う気?」
「そういう訳じゃないけど……」
おずおずとバンザイすると、
「素直で宜しい」
にっこりと微笑みながら陽斗が服を脱がせてくれた。
「俺も混ぜて」
ガラリと脱衣室が開いて新が入ってきた。
「店員オ―バ―だ。電話、もう終わったのか?」
「あとで掛けなおす」
「今、掛けたらいいだろ?」
「それだけは死んでも絶対に嫌だ」
新がきっぱりと答えた。
丸二日お風呂に入ってないから自分の体くらいは自分で洗うからと言ったけど、素直に聞き入れる二人ではない。頭から足の先まで丁寧に二人に洗われて、きれいにされたあと、僕はずっと浴室に甘い声を響かせ続けている。
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