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第二章 第三十話 湯殿の秘め事※R18
※R18表現ありです。
湯殿の秘め事
「ひぁっ、っ、は、あンっ、んぁぁっ……」
艶やかな声が浴室に響く。朝陽は壁に手をつきながら、後ろから愛撫を受けていた。ボディーソープでぬめった手が身体中を這う。まだ性器に触れられていないにも関わらず、既にそこははしたなく反応を示していた。
「や、いちろ、触ってっ……」
「うん、でも先に身体綺麗にしないと。ここも……」
「ふぁっ!?」
胸の頂をかりりと責め立てられ、口から甘い悲鳴が漏れる。先端からびりびりと快楽が身体を駆け巡り、性器が涙を溢れさせた。
「あッんぁっ! ぅあっ!」
どんどんと性感を高められて、声を抑えられない。浴室の造りは音を反響させ、朝陽の喘ぎ声で空間が満たされていく。
「朝陽、気持ちいいね……もっといっぱい声出して?」
「ぁっ、は、んぅっ! ひぅっ、あッ、は、あっ……!」
朝陽に欲情している屹立を尻にごりごりと押し当てられる。この身体で彼が興奮しているのが、どうしようもなく嬉しかった。
「っ、ちろ、いちろうっ……! 前触ってっ……! も、苦しっ……!」
「そっか、ごめんね。辛かったね」
一郎は朝陽の耳たぶを食みながら、それまで触れていなかった性器を激しく扱き始めた。
「ひゃぁっ! いちろ、きもちい、っあ、あっあっ! っは、ぁあっ、あンっ!」
一郎の手の中の性器はひくひくと震えながら快楽に溺れる。次々に先端から先走りが溢れて、浴室の床を汚していく。
「あッ、あんっ! んぁあ、あ、あっ! ぁ、だめ、すぐイっちゃ……!」
一ヶ月禁欲状態だった身体には、一郎の愛撫はあまりにも強烈すぎた。せり上がってくる射精感をどうにもできなくて、朝陽は必死にかぶりを振る。
「いいよ、イって……。好きなだけ出していいんだよ、朝陽」
「あッあぁっ、あ、んァっ、あ、あっ────────!」
性器から勢いよく白が溢れる。朝陽は一郎の熱を押しつけられながら、脳が真っ白になる心地を味わった。
「はーっ……は、はっ……いち、ろっ……」
「なあに?」
「も、入れてくれっ……早くっ……」
ここには潤滑剤もないしコンドームだってない。けれどもう我慢ができなかった。朝陽は一郎の屹立に身体を押しつけ、終わりのない快楽に堕としてほしいと願う。
「だめ。今日は入れないよ」
だが一郎は、朝陽の後頭部にキスを落としながらそれを拒んだ。
「え……な、んで……」
その言葉に、目の前が真っ暗になった。
「朝陽、まだ身体ボロボロなんだよ? 入れたら俺我慢できなくなっちゃうから、今日はだめ」
「っや、やだぁっ……欲しいっ……いちろうっ……!」
一郎だってこんなにも興奮しているのに。朝陽はいやいやと子どものように駄々をこねる。
「朝陽」
「オレのこと、甘やかすって言ったのにっ……! なんでぇっ……!」
ひぐ、と嗚咽が漏れる。朝陽はぼろぼろと涙を零しながら一郎を責めた。
「ごめんね、でも入れられない代わりに気持ちよくするから、足閉じて?」
「あ、し……?」
一郎の言うがままに股を閉じる。すると彼は内ももをボディーソープで滑らせた。
「いちろ、何して……?」
「俺も初めてなんだけど……こうすれば、気分は味わえるからっ……」
そして────熱い何かが、閉じられた太ももの間に突き立てられた。
「っ、ひ!?」
会陰を屹立で刺激されて、思わず悲鳴が漏れた。一郎が腰を動かす度、後ろから性器の幹が擦られる。
「ぁ、あッんぁっ! なに、これっ……!」
「素股、って言うんだよっ……こっちも触ったら、どうっ……?」
「っぁ、ん! あっ、ンあッ、ぅぁ、ぁあっ……! 」
一郎の手が再び胸に触れる。掬い上げてすり潰すような指の動きに、全身の皮膚が総毛立った。
ぱちゅぱちゅと肉のぶつかる音が響く。挿入がないのにセックスをしているような心地に包まれて、朝陽の頭はぼんやりと霞に侵されていた。
「あっぅ、っふぁッ、あうっ、ひぅっ、あッ! ぁあッ、ぁっあン、は、あっぁ!」
男の熱が脚の間を行き来する。彼が朝陽の身体に欲望を感じて、押しつけている。その事実がどうしようもなく興奮を煽った。
一郎によって快感を覚えさせられた胸の頂は、絶え間ない責めによってぴんと勃ち上がっている。その先端を指の先で愛撫されるだけで、びくびくと性器がかぶりを振った。
「いちろ、ぁんっ、あ、ぁ、ひぁんっ……! あ、んあぁっ!」
「朝陽、朝陽っ……!」
甘さだけが空間を支配する。朝陽は身体をのけ反らせて、快楽を与えてくる男に懸命に縋った。
「ぁ、イく、気持ちいいの、くるっ……! うぁっ、ぁっあう! ンぁっあ!」
「っ、俺も、イきそっ……朝陽、一緒にイこ?」
「ん、うんっ……あ、ぁ、あッあッ! んぅっぁっあ、あ、イく、イくっ、ぁ、あぁっ、あッあっ────!」
びゅく、と白濁が溢れる。朝陽が絶頂して身体を震わせていると、一郎が激しく腰を打ちつけて屹立から欲望を吐き出した。
「っ、く、ぅっ……!」
「ぁ、ぁっ……は、っ……はーっ……」
荒い息で必死に酸素を吸う。床に零れるふたり分の白濁を見て、ひどく淫靡な行為に耽ってしまった気がした。
「朝陽、身体大丈夫……? 傷痛くない?」
「っん……大丈夫……」
一郎が優しく身体を包み込んで、傷跡をそっとなぞる。
「湯船つかろっか。病院だとお風呂入れなかったでしょ?」
「うん……」
一郎がシャワーでボディーソープを流してくれて、ふたりで浴槽に入る。成人男性ふたりが入ると狭いこの浴槽が、朝陽は好きだった。
「怪我治ったら、いっぱいしようね。それまでは素股で我慢しよ?」
「……ん……」
後頭部に何度も口づけが落ちる。お湯の温かさと一郎の体温が安心感をもたらした。
「一郎、本当にオレで興奮してた……」
彼は言った通り朝陽で興奮していた。鏡に映る朝陽の身体には、痛々しい傷がしっかりと刻まれていたのに。
「ふふ、だから言ったでしょ? 俺は朝陽が朝陽なら興奮するって」
「……うん……」
彼の愛情は果てがないと思っていたが、改めてそれを示された。朝陽は一郎の胸に背を預けて、小さなため息を吐く。
「お風呂あがったらご飯作るよ。何食べたい?」
「肉がいい……」
「了解。多分そうなんじゃないかなって思って、牛肉買っておいたんだ」
一郎がきゅっと朝陽の手を握る。その温もりに、改めて彼の元へ帰ってこれたのだと実感をして、朝陽は猫のように頬を擦り寄せた。
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