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「いいなぁ〜、俺も繋ぎたいなぁ〜」
冗談と本気とも取れる袋田が人差し指を口の端に当て、まるで人のものを欲しがる子どものような言動をして見ていた。
「あの⋯⋯ここに入りますか?」
まだ玲美と繋いでない手を差し出す。
が、袋田が「いいんですか!」と言うや否や、大河と繋いでいた手に引っ張られた。
油断していたのもあって、つんのめりそうなのを何とか持ち堪えた。
「大河⋯⋯」
「袋田さんに繋いで欲しくないのよね、大河君?」
同意を求めるような口調で玲美が大河の方を見ると、大河は大きく頷いた。
「ひっどい! 俺が何をしたっていうんですか!」
「ママを取られちゃうかもしれないからじゃないですか?」
「そんなこと、しないですよ!」
強く言った。死んでもしないといったように。
御月堂から姫宮との関係は言っているのだろうか。しかし、言おうか言わまいがおおよその察しがついて、そのような発言をしているのだと思う。
それでも、自分が何よりも大好きな母親に指一本でも触れさせたくないというように、睨みつけていた。
この態度、御月堂にもしていたなと思いつつ、「大河、そんなことしちゃダメだよ」と窘めた。
「ね、ふくろださん」
「えっ? なんスか?」
「ふくろださんだけなかまはずれなのもかわいそうだから、ぼくとままのてをつないでもいいよ!」
そう言って、玲美と繋いでいた手を差し出した。
「伶介様⋯⋯」
「伶介⋯⋯っ」
言われると思わなかったという顔をする袋田と、今にも泣きそうに声音はそんな声を漏らす玲美が伶介のことを見つめていたのも、束の間。
「恐れながら入れさせてもらいます⋯⋯」
急に頬を赤らめてもじもじし始めた袋田は、おずおずといった手つきで伶介に、そして玲美と手を繋いだ。
その様子にいつもと変わらぬ笑みを見せる伶介と、苦笑気味の玲美がいた。
急に何をしているのだろうとぼんやりとしていた姫宮だったが、きっと自分も微笑んでいたに違いない。
輪になって意味もなく回っているこの状況が楽しいと思っているのだから。
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