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しばらく回り続けているうちに子ども達が飽きていたことからその遊びをするのを止め、次のコーナーにいたチンアナゴの大群を玲美と共に夢中になって見ているのを、少し離れた場所に設置してあるベンチに座り、袋田と揃って見ていた。
「いやぁ〜、楽しかったッスね!」
「はい、本当に」
返事をそこそこに手に持っていた携帯端末で、さっき撮った写真を振り返った。
大河がクラゲを撮って欲しいと指差して催促してくるものだから、床下のクラゲばかり撮っていた。
プロジェクションマッピングでより華やかに見えるクラゲは、カサのクローバーに見えるその部分に加え、その透明な身体に透き通るように映し出された色とりどりの花といい、海に花が舞っているように見え、綺麗だった。
しかし、やや明るかったためか、上手く撮れておらず、逆光しているような結果になっていた。
この場合は、先ほど言っていた袋田の意見が優先される。
実際に見た景色は、この写真とは比べものにならない光景だったのだから。
「あー⋯⋯。姫宮様達でも楽しめましたけど、やっぱり好きな人と一緒に行きてぇー⋯⋯そんでもって、口説きてぇ〜⋯⋯」
「⋯⋯お相手がいないのですか⋯⋯?」
思わずそんなことを訊いてしまった。
姫宮よりも背が高くて、がっしりと筋肉があってその部分だけでも頼れる人に見えるのに、こんな姫宮にも気さくに話してくれる好青年だ。
そして、何よりも自分と同じ第二の性ではなさそうにも思えた。
最低でも平々凡々よりも上な人に相手がいないなんて、どうしてなのだろう。
「そうなんッスよ〜! 仕事柄なかなか出会いってもんがなくて!かと言って、付き合っても仕事内容が言いにくいもんだから、色々と誤解されそうだし⋯⋯っ!」
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