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──とそんな時。突如として袋田が大河達の方へ向かった。
急に立ち上がって何かと思えば、三人の真後ろにいた人を取り押さえているところだった。
「あっ、姫宮さん! 大丈夫でしたか!?」
「え⋯⋯え、はい。私は大丈夫ですけど⋯⋯」
歩み寄った時、目が合った玲美が駆け寄って、良かった〜と手を取って酷く安堵をしていた。
足元には玲美の後を追ってきた大河がしがみついていた。
二人の様子にさらに困惑することとなった。
「あの⋯⋯何があったのですか?」
「私もよく分からないのですけど、急に後ろで知らない人が袋田さんに取り押さえられていたので、危ないことが起きそうだったのは確実かと⋯⋯」
危ないことと聞いた時、空いていた片手で大河のことを自身の方へ引き寄せた。それは玲美も伶介に対して同様だ。
周りと同じように混乱と不安の中、袋田が見知らぬ人を地面に押さえつけている様子を見ていた。
そうしていると、水族館の関係者が通報してくれたのだろう、その関係者と警察がやってきて、引き渡されていた。
警察に事情聴取を受けていたらしい袋田が、こちらにやってきた。
「袋田さん、どうしたのですか?」
「いやぁ、松下様方の真後ろでアレを持った男がいたんで、取り押さえたんですよ」
「アレ⋯⋯?」
「そうです、アレですよ、アレ」
軽い調子で袋田は軽く笑っていた。
姫宮は袋田の言いたいことがすぐに分からず、首を傾げていたが、玲美が「⋯⋯きっと刃物ですよ」と耳打ちしたことで分かった。
刃物、と聞いた途端、血の気が引いた。
まさかこんなにも人の目があるところでそのような恐ろしいことをやろうとしていただなんて。
アレとぼかした言い方をしていたのは、そばに大河達がいたからなのだろう。そんな配慮にすぐに気づけずにいる自分が愚かだ。
「松下さん達を⋯⋯」
「無差別な感じがしますね。しかしまあ、こんなところで騒ぎを起こそうとするなんて、とんだ目立ちたがり屋ですね〜」
はは、と両手を軽く上げて笑っていた。
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