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「えっ、大河。今ママ、慶様へのお土産を選んでいたのは、分かるよね?」 うんと頷いた。 「ママが悩んでいたから、慶様がこれなら喜ぶと思って選んでくれたんじゃないの⋯⋯?」 首を横に振った。それも思いっきりだ。 それから通じてないというように怒っている態度を見せた大河に、ますます困惑していった。 「御月堂様へのお土産を選ぶのに時間を使わないで欲しい、なんじゃないでしょうか」 「えっ」 「そうでしょ? 大河君」と玲美が投げかけると大河はそうだと何度も頷いた。 その息子の反応に人知れず胸がチクリと痛んだ。 やっぱり、姫宮は御月堂のことを愛したいと思っていても、大河はどうしても好きになれないのだと。 仲良くして欲しいとは思うが、ひとりよがりの話なのだろうか。 「でも、姫宮さんが御月堂様のために悩んでいたこと、大河君が選んでくれたことは事実ですから。今はそれでいいんじゃないでしょうか」 心の中を読んだように玲美はそう言って、優しく微笑んだ。 もしかしたら、一抹の不安を抱えたような表情が出ていたのかもしれない。 どちらにせよ、自分のせいで今まで楽しかった雰囲気を台無しにしたくない。 「ええ、そうですね。⋯⋯ありがとうございます」 取り繕った姫宮は大河が選んでくれたお土産と、安野達へのお土産を選び、支払いをした。 お金は代理出産の時に得たものだ。 何にも執着がなく貯めに貯めていたお金を使う機会ができて良かった。それは結果的に使いたかった我が子に買ってあげるきっかけにもなった。 大河にとっては初めての水族館。途中、非現実的な出来事があったが、それ以外の友人である伶介との楽しい思い出を少しでも忘れられるようにと帰りの車の中、疲れて仲良く寝ている二人を見ながら姫宮は願うのであった。

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