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突破口を開く 1
コニーは早速、エミンの側にかけ寄って足首に治癒魔術をかけた。
「僕の魔力とスキルじゃ、痛みを紛らわせるくらいで、毒を完全に中和できない…ごめん…」
コニーは謝りながらも、同じようにノエルの右腕に治癒魔術を施す。
治癒魔術は、繊細な上に魔力も相当量必要なため、毒を受けているノエルとエミンは自身自身に治癒魔術をかけることができない状態であった。
「ありがとう、ユーストマ君。痛みが和らいでだいぶ楽になったよ」
「ありがとう。痛みが無くなるだけでも全然違う」
エミンとノエルは、コニーに感謝の言葉を伝える。
コニーの頬がほんのりピンク色に染まった。優秀な2人に褒められるのは嬉しかった。
「すぐにでもここから脱出したいところなんだけど…あの自動で閉まったドアが厄介だと思う」
第2武器収容庫には窓はなく、出入りするドアは1つだけといった作りになっていた。
ノエルは、武器収容庫のドアに近付いて、ロックの仕様を調べる。
「…簡単には開かなそう」
ドアには幾重にも魔術が施されており、一つ一つ解除していかなければ、開かない仕組みになっていた。
さらにノエルには、気になっていることがあった。
病魔ストレス症状を現す大量の黒い点が、失神している先輩治療士と、エミンのまわりに少しずつ集まっているのが見えていたのだ。
「ちょっと、酷い顔色だけど…大丈夫?」
コニーが、エミンの顔色の悪さをに気付く。
「うん…痛みはひいたんだけど、身体全体が、重たいというか、呼吸もし辛くて…」
病魔ウィルス濃度が高いと、病魔ストレス症状が悪化しやすい。この武器収容庫はしばらく使われていないらしく、空気がひどく淀んでいた。
「収容庫内の病魔ウィルス濃度が高いのかもしれない…このままだと、僕たちの病魔ストレスが悪化して、ますます困ったことになる」
ノエルは2人にそう告げた。ノエルとコニーも、エミン達と同じように、やがてすぐに病魔ウィルスの影響を受けるだろう。
やはり、早く脱出するためにも、このドアを解除するしかないと思った時、先輩治療士が突然うめき声をあげた。
「うぅ…」
ノエル達に緊張が走る。
また突然発狂して、おかしなことでもしたら…この武器収容庫には、大量の火薬がある。ボヤ程度の小さい火でも、引火したら大惨事だ。
「この人、目を覚ましちゃう!どうしよう…!!とりあえず、持ってる危ないもの全部回収しちゃう…?」
コニーの言う事に同意しようとした時、ノエルの頭にある案が浮かんだ。
「そうか…!吹き飛ばしてしまえばいいのか…!」
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