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マウント? 3

ノエルはニックに壮行会で出し物をすることになった事情を簡単に説明した。 ニックはノエルの説明を聞いたあと、少し考えながら「なるほどね」と呟く。 そこでまた堪らずコニーがノエルに尋ねる。 「あのさー、さっきのハグって何なの?2人は付き合ってる…とか?」 ノエルは一瞬きょとんとしてから、まさかと軽く笑いながら否定する。 「ううん、違うよ。ニックのお母さんはセコイア国出身なんだって。セコイアでは、親しい人とハグする文化があるらしいんだ。寮でニックと同室になった最初の日に『ハグしてもいい?』って聞かれて抱きつかれた時は僕も驚いたな…それから3年間ずっと同室だったから、習慣になってるだけだよ」 パラビナ国の隣国のセコイア国は、パラビナの倍の領土を持っているが、王家が分裂し、半世紀以上内乱が絶えない国であった。 争いを持ち込まれることを懸念した現パラビナ国王が、自身が王位についたタイミングでセコイア国との国交を断絶した為、多くの人は行ったことの無い国で、文化などもあまり広く知られていなかった。 「学校に入学した頃、ホームシックだったから…つい…ネ」 しおらしい態度で、そう言うニックに、エミンは胡散臭そうな視線を向ける。コニーも小さい声で「なんでか嘘くさい…」と呟いた。 「さっきの話に戻るんだけど、ノエルちゃん、アレやったらいいんじゃない?」 ニックは、壮行会の出し物について提案をはじめた。 「癒しの魔術の時に使用する魔力に光を多く与えて、色んな形を作り出すやつ。昔得意だったでしょ?治癒魔術の光は精霊と同じ白い光だし、縁起も担げて壮行会の送り出しにはぴったりじゃない?」 「色んな形を作り出す…アレか。確かに今ならもっと大きな形を作り出せるかも…?しかも、エミンとコニーもいるから…」 ノエルはブツブツと1人呟いたあと、ぱっとエミンとコニーを見た。 視線を向けられた2人はイマイチついて行けず、戸惑う。 「分かりやすく言うと、魔術を使ったイリュージョンショーみたいな感じだヨ」 ニックがそう説明すると、コニーは「何それ…なんかちょっとカッコイイ気がする…」と目をキラキラさせる。 「それだと、踊ったりもしなくて良さそうだね。しかも、治療士お得意の魔術も使えるし…ウケも良さそうな気がする」 エミンもニックの案に同意する。 「ショーとなると…|深緑色のマント《いつもの格好》で魔術だけ見せても、盛り上がりに欠けるから…衣装は変えたほうがいいかもねっ。エンペラルに知り合いのデザイナーが居るから…今から特急で頼んだらどうにか用意できるかも!聞いてみる!」 コニーは両手を合わせ、やる気満々に自ら衣装の手配を申し出た。 「そうだネ~、このメイド服はノエルちゃんには似合わないよね。…ユーストマ君だっけ?ノエルちゃんの衣装のデザインに口出したら怒る?その代わりと言っちゃなんだけど、王都エンペラルからここまでの配送について、実家を使って早めることができると思うよ」 ニックは、ニコニコと笑いながら、コニーに提案する。ニックは平民出身で、実家は転移魔法陣専門のサービスを中心に展開している商家だった。

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