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マウント? 4
コニーはやはり表情が読めないニックに引続き不信感を抱きつつも、ニックの笑顔から断れない圧を感じ「別に怒らないし…アドバイスもらえるなら助かるけど」と了承する。
「ハーヴィ君は…なんか…ノエルの保護者みたいだね」
ニックのただならぬノエルへの執着を敏感に察したエミンが、思わずそう口にする。
「ニックは、星島の奥地で引き籠もって暮らしていた世間知らずな僕に、色んなことを教えてくれたんだ」
「あの頃のノエルちゃん、危なかしくて見てられなかったからね。先生より魔術の知識があるからって、先生が答えられない難しい質問をしたり、間違いをみんなの前で指摘したり…無表情で近寄りがたいオーラも発してたよネ」
「だから、それは昔の話で…」
ノエルはニックが持ち出した自身の昔の話に気恥ずかしさを感じ、焦りだす。
エミンそんなノエルの様子をみて「ノエルらしいかも」とクスっと笑い、コニーも「すごい想像できる」と笑った。
「魔物討伐部隊に派遣される治療士は『魔力の交換』で治療する場合があるって聞いた時、本だけじゃわからないからって、夜の街で専門家を買って教わろうとしちゃうから全力で止めてそれで…」
「わーっ!ニック!!ストップ!」
ノエルはニックの口を慌てて両手で防ぐ。
しかし、感の良いコニーとエミンはノエルがちょっと前に話していたことと結びつけて、あることに気がついてしまった。
「さっきから『ノエルの男』ムーブを感じてたけど…そういうこと?」
「ノエルが前に、経験あるって言ってた相手ってまさか…」
コニーとエミンが、ニックを見る。
ニックはノエルに口を塞がれたまま、得意の不敵な笑みを浮かべた。
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