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ガーターベルト 1

「ねぇ、コニー…これって下着なの…?何かを結ぶ紐じゃなくて…?」 ノエルは、白のレースで織られた紐タイプで結ぶ下着を両手で持ち、ぴらっと広げる。 「そうだよっ!ちゃんと男の子用のやつだから、安心して!」 ノエル・リンデジャック、コニー・ユーストマ、エミン・グスタフの新人治療士3人組は、控室として与えられた使用されていない救護室の一角で、壮行会の準備をしていた。 あと数時間後に、壮行会で出し物を発表することになっている。 壮行会の準備の期間は1週間と短く、出し物の構成企画、照明・音楽などの演出等、討伐部隊の治療士がほぼ総動員して関わっていた。 短い準備期間であった為、衣装作成は間に合わないと思われたが、王都エンペラルの貴族、コニーのコネクションにより、腕の良いデザイナーが特急で用意してくれた。 数時間後の出番に向け、先ほど王都エンペラルから到着した衣装に着替えようというところで、下着だと言われて渡されたものが、普段の下着と比べ圧倒的に布面積が少なかったことから、ノエルは思わずコニーに確認をしたところだった。 「下着まで揃えてくれてるなんて…衣装代結構かかったんじゃない?」 「普段ユーストマ家がお願いしてるデザイナーさんだから今回はサービス価格にしてくれたの。心配してた移送代はハーヴィが全部持ってくれたしねっ」 エミンの心配する声に、コニーは明るく答える。 転送の魔法陣は、使用できる者が限られている上に、値段も高い。ノエルと同郷であるニック・ハーヴィの実家が魔法陣の移送サービスを行っていた為、ニックがノエルの衣装を決める条件で、移送費用を全て負担してくれた。 「この下着、可愛いでしょ。うっかりスカートが捲れて見えちゃっても大丈夫!むしろ、激励賞確実かもねっ」 「えっ、見え…ちゃうって、この布面積じゃ、お尻が半分以上丸見えだよっ…!?」 ノエルはもう一度下着を広げて確認する。 何度見ても心許ないデザインだ。大事なところもちゃんと隠せるのかすら怪しい。 「そこはサービスで」とにやっと笑みを浮かべるコニーに、エミンは冷めた表情で「品位がないって怒られるよ」と返し「冗談だってぇ」とコニーは舌を軽く出しながら答える。

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