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ガーターベルト 2

榛色の少しクセのある髪を持つノエルにあてがわれた衣装は、イリュージョンショーをテーマとしたデザインで、胡桃ボタン・襟付きのシャツに前が短くなったアシンメトリーの上着、フリルとリボンがあしらわれた裾がふわっと広がるミニスカートだった。 色はピンクや水色などパステルカラーで統一されている。リボンのついた小さなシルクハットまで用意されていた。 紫のおかっぱボブスタイルの髪型のコニーは、上着はノエルと同じ様なデザインで、ボトムスはスカートではなく黒のショートパンツを履くスタイルとなっている。 髪にはフリルのついたカチューシャをつけることになっていた。 エミンの衣装も、2人と上着は同一のものだったが、両サイドに太ももの上までスリットの入ったタイトな黒ロングスカートとなっていた。 エミンは普段、パステルブルーの長髪を耳にかけて右側に流しているのだが、今日は衣装にあわせ、まとめてアップにしていた。 3人はそれぞれお互いに手伝いながら、自分の衣装に着替え、姿を確認する。 ガーターベルトとストッキング、それにヒールのついた靴も履いたら完璧に仕上がった。 「うーん…僕たちこのまま、どこかのお店で歌って踊ったら人気でちゃうよ~!」 コニーは可愛い衣装を着て、すっかりご機嫌だ。 「ハーヴィ君の見立てた衣装、やっぱりというか…怖すぎるくらいノエルに似合ってるね」 「えっ、そうかな…こんなヒラヒラした服初めて着たよ」 ノエルは、自分の着ている衣装を眺める。普段着ている・履いているものと違い過ぎて落ち着かない。 出番までは、いつもの深緑のマントをつけて待機することになったので、マントにくるまれていると少し安心する。 着替え終わった3人は、出番の前に壮行会の会場となる食堂に向かった。 発表のためのステージが設置されており、観客席側にはかなりの人が既に集まって談笑したり休憩したりした。 ステージ裏で作業していた、他の治療士達と出し物の最終確認を終え、数時間の空きができたタイミングで、ノエルは自分が忘れ物をしたことに気がついた。 ショーの雰囲気を出す為にと、衣装と同じパステルカラーに装飾された長めのステッキを渡されていたのだが自室に置きっぱなしにしてきてしまった。本番で使うので無いと困る。 時間があるうちに取りにいった方がいいと判断したノエルは、コニーとエミンに声をかけ、宿舎にある自室に取りに戻ることにした。 自室に戻って無事にステッキを手にしたノエルは、自分の犯した小さなミスに気がつく。 「…しまった。靴は履き替えて来るんだった…」 履きなれないヒールのある靴で来てしまったため、普通の速さで歩くことができず、もちろん走るなど到底無理だ。 ノエルがノロノロとゆっくり歩いている時だった。 ――ぱちんっ 「あっ…」 ノエルの右足のストッキングをとめていたガーターベルトが2つとも同時に外れてしまい、ストッキングが下がってしまった。 こうなるとさらに歩きにくい。 ノエルは歩く足をとめ、ステッキを持ちながら、ベルトを付けようと試みたが、慣れてないため、上手く付けることができない。 「――ノエル?」

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