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Cp2.開×閉『いつも、だけど、今日も』
いつから好きだったかなんて、わからない。
ただ、家族や兄弟から恋人になった瞬間なら、知っている。
怯える弟を強引に押し倒したのは、大学生の時だった。
閉は常に内緒にしていたが、恋人ができたのだと悟るたび、塞がった心に何かが堪っていくのを感じていた。
堰を切って崩壊した時には、抱いていた。
けどそれは、二人にとって良いきっかけだった。
閉もまた、兄への許されない想いを抱えていたのだと知れた。
それからは、心置きなく二人だけの秘密を共有できた。
「そうだろうと思ってたけどな。開の閉に対する執着とか異常だったし、恋人って言われた方がむしろ自然だわ」
幼馴染の清人にカミングアウトしたら、そんな言葉が返ってきた。
清人はバイセクシャルながら、一人の人を想い続けている。好きになった男も女も同一人物だというのだから、逃げようもない。
ある意味で自分たちより大変だなと思った。
「跡取りが欲しいなら産んであげるよ。性行為は必要ない。精子だけくれれば受精させて受胎できるからね。結婚も子育ても興味がないが、出産には興味があるんだ」
解析・回復担当統括の朽木要が、開に面白い提案をした。
鳥居家は古い呪禁師の家系だから跡取りは必要だし、願ってもない提案だ。こんな風に利害が一致する相手はきっと要くらいだろう。
開と閉の関係に、いつの間に気付いていたのだろうと不思議に思った。
だがそれも「要だからな」の一言で納得できるあたり、要だなと思う。
「ぁ、ぁっ……、開、もっと、ゆっくり……」
自分の下で喘ぐ愛しい人の声で、開は我に返った。
閉が目を潤ませて開に腕を伸ばす。
「痛かった? それとも、悦すぎる?」
顔を近づけて、頬に口付ける。
開の首に腕を伸ばして閉が絡まる。
「悦すぎて、また、イくっ」
言いながら、閉の男根の先端から白濁が飛び散る。
閉の腹を汚した精液を指で掬うと舐め挙げた。
「美味し。何回でもイっていいよ、閉。気持ちよくなって、俺を感じて」
開は閉の耳元に口を寄せた。
「それとも、化野くんみたいに虐めてほしい?」
鬼の本能が目覚めて智颯を虐めていた化野護に、閉が心を奪われていたのが気に入らない。
「焦らして、イく直前で止めてあげようか?」
閉が涙目で開を見上げた。
「開になら、何されても、嬉しい、から。多分、すぐイク……」
ぎゅっと目を瞑って開の腕を握る。
目を瞑った拍子に涙が流れた。その顔がいつもより幼くて可愛らしい。
しっかり者の閉が開の前でだけ見せる、弱い素顔が堪らなく愛おしい。
開は腰を深く打ち付けた。
閉が好きな奥を容赦なく突いて擦る。
「ぁぁ! そんなにしたら、すぐ! ぁ、ぁっ……、あぁっ!」
顎を上げて快楽に耐える閉の首に噛み付いた。
「閉が煽るから悪いんだよ。そうやって、俺が欲しがる言葉を、わかっていて吐くんだから」
愛しているなんて、百万回言ったって足りない。
余所見なんかする気すら起きないくらいに、頭の中を自分だけでいっぱいにしてしまいたい。
閉が開の首の後ろに手を回して、顔を引き寄せた。
「開こそ、シてる時に他の男の名前を呼ぶなよ。俺だけで、頭いっぱいにしてろ」
潤んだ瞳の奥に確かに灯る愛憎に、開は身震いした。
腰を引いて、浅い所を緩く擦る。
じれったい快感に、閉が身を捩った。
「ごめん、お詫びにお仕置きするね。今日も俺を兄さんて呼んだだろ? 閉はいつになったら俺を名前だけで呼べるようになるのかな」
熱が浮いた顔で、閉が開をねめつけた。
「一日に、一回くらい、呼ばないと、お仕置きしてくれないだろ」
閉の男根の先から、とろりと白濁が溢れて流れた。
浅い所を擦り続けると、緩い快楽が続いて流れ続けてしまう。
イけない快楽に耐え続ける閉の顔を眺めているのが、開は好きだ。
「お仕置きされたくて呼んでるの? 俺が嫌がってるの、わかってるのに? 閉は悪い子だね」
お仕置きというより、シたい時の合図だと知っている。
セックスで虐めてほしいという閉からの暗黙のサインだ。
「愛してほしくて、呼んでる。兄さんでも、開でも、どっちにも、愛されたい」
回した腕に力を籠めて顔を上げると、閉が開に口付けた。
勢いで思い切り奥を突いたら、閉が背中を仰け反らせた。
「閉が可愛いこと言うから、もう我慢できないよ」
肩に腕を回して、根元まで打ち付ける。
「んっ……、ぁ、ぁんっ」
開の肩に顔を埋めた閉が、くぐもった声を上げた。
快楽に震える体と嬌声で、開の腰の動きが早まる。
「ぁっ、閉、愛してる」
腹の中に溜まった快楽が言葉と共に閉の中に吹き出す。
男根をずるりと引き抜いて、ゴムの先に溜まった白濁を眺めた。
閉の腹に目をやると、同じように射精したようだ。
さっきより腹に溜まった精液が増えている。
息を切らしている閉の隣に寝そべって、愛しい体を抱きくるめた。
「化野くんより開の方が意地悪だから、俺は満足だよ」
言いながら閉が熱い吐息と共に開の唇を食んだ。
「何それ、閉も思い出してたんじゃない」
「開が言うから、思い出しただけだよ」
甘えた仕草で閉が開に抱き付く。
終わった後まで、可愛い。
結局、閉の仕草や言葉にやられてイかされているのは自分だと、つくづく思う。
それが好きで幸せだと、体を重ねる度に開は感じていた。
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