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Cp5.槐×陽人『遠い記憶②』

 陽人の服を握り締めて引き千切る。  自分にこれほどの力があったのかと、自分で驚いた。 「槐、やめ、ろ! これ以上は、ぁっ、ぁあ!」  股間に手を伸ばし、執拗に揉みしだく。  胸の突起に舌を這わせて、吸い上げるのを繰り返した。 「やっ! やめっ、ダメ、だ! ぁ、ぁあっ、んんっ」  陽人の股間が膨らんで、徐々に硬さを増していく。  胸の奥に高揚が広がる。  下着まで総てはぎ取ると、勃起した男根が顕わになった。  陽人の顔が驚愕と快楽に染まっている。 「それだよ、陽人。陽人は俺をもっと憎んで嫌って、俺に縛られて生きていればいいんだ」 「何を、言っているんだ、槐。もう、これ以上は……っ!」  声にならない悲鳴を飲み込んで、陽人が口を引き結んだ。  そそり立った男根を口に含む。  陽人の腰がビクリと震える。  全体に舌を這わせて丁寧に舐め挙げる。  歯があたらないように気を付けながら、ゆっくりと口で扱き、先を吸い上げる。 「ぁ! や、ヤダ、も、やめろっ、ぁ、ぁ、ぁぁっ」  先を強く吸ってやると、陽人の腰が前後に動く。  唾液で湿らせた指で、後ろの口をこじ開けた。  悲鳴にならない悲鳴を上げる陽人が可愛くて、指をどんどん奥へと伸ばす。  くりくりと擦り上げると、ある場所で陽人の体が大きく震えた。 「この辺? 気持ちいいの?」 「それ以上したら、出る、からっ、ぁん、ぁあ!」  首を激しく振って、陽人が逃げようと体を捩る。  呪術で縛り上げた手と足は動かせずに、まるで善がっているように見える。 「可愛い、陽人。逃げたいのに気持ち良くて俺から逃げられないんだ。イかせてあげるね」  指を二本に増やして中を強く擦る。  男根を咥え込んで激しく扱きながら先を吸い上げる。 「ぁ! ぁあっ、イク、ヤダ、ぁあ!」  何度か同じように繰り返すと、陽人の男根の先から白濁が流れ出た。  口の中に流れ込んできた熱い精液を、槐は飲み込んだ。 「はぁ、はぁ、ぁぁ……」  射精した虚脱感で呆然とする陽人に口付ける。  陽人はもう、抵抗しなかった。 「陽人もしてよ。俺の、咥えて」  自分の陰茎を陽人の口に持っていく。  既に硬く熱くなった先を陽人の口に押し当てる。  小さく口を開いて、陽人が先を咥えた。  喉奥に向かい、思い切り突っ込んだ。 「んぐっ、ぉぇ、ぉ、ぁっ」  嗚咽で涙が滲む顔を見たら、陰茎が更に硬くなった。  苦しそうにする陽人の顔に興奮が収まらない。  それでも懸命に舌を這わせて槐の陰茎を舐め上げ吸おうとする陽人が愛おしくて仕方がない。 「がまん、出来ないや」  陽人の口から自分の陰茎を引き抜くと、後ろの口に押し当てた。 「待て、待って、槐。それだけは、ダメだ!」  言葉など聞く必要はない。  ダメだと何度も口が吐いても、陽人の体は喜んでいる。  槐に中に入ってほしいと懇願するように後ろの口がヒクヒクと痙攣している。 「本当は欲しいのに、欲しいって言わない陽人が、好きだよ」  押し当てた陰茎を少しずつ突っ込む。  体を強張らせる陽人の胸の突起を指で掻く。   「力、抜かないと裂けちゃうよ。あと少しで、気持ち悦くなれるから」  呪詛を混ぜた言葉を耳元で囁く。  力が抜けていく陽人の口を覆うように口付けた。  舌を絡ませると、陽人の方から槐の舌を吸い上げた。  中を押し開きながら陰茎を奥に突っ込む。  引いて押すのを繰り返しながら奥へ進む。善い所にあたると、陽人の腰がびくびくと震える。 「ん、ぁ、ぁ……、きもちぃ、槐……」  陽人の目が潤んで、快楽を溢れさせた顔が槐を見詰めている。  その顔を見ながら繋がっているだけで、幸せだった。 「こんな風にされたら、陽人はまた俺を避けるね。始めてキスした時みたいに」  あの時の陽人を思い出して、思わず腰が奥を突いた。 「ぁあ! ソレ、ダメ、イク! ぁ、ぁん、ぁぁ!」 「奥が好き? 陽人は背が小さいから、すぐに奥まで届くね。沢山、突いてあげるよ」 「お前が、大きいだけっ、ぁぁっ」  槐の先が奥を突いて擦るたびに、陽人の背中が反って陰茎から精液が溢れる。  何度も繰り返すと、陽人の先から精液が吹き出した。 「ぁ、ぁ、ぁあ!」  射精しても収まらない快楽で、陽人の顔が完全に快感に染まる。  槐はその顔を満足して眺めていた。 「あぁ、可愛い、俺の陽人、好きだよ」  突然、陽人の腕が伸びてきて槐の首を掴まえた。  緊縛の呪術を自力で破ったらしい。  顔を近づけて唇に噛み付いた。 「そんなに僕が好きなら、僕とくればいい」  快楽を滲ませながらも強い瞳が槐を射抜く。 「お前が一番、言われたくない言葉を吐いてやる。僕は槐が欲しい」  打ち付けていた腰が止まる。  体が震えた。  挑戦的な目で槐を睨み据える陽人は、明らかに槐が好きな陽人だ。 「僕と来ないなら、どこまでも追いかけて、僕の傍においてくれと泣いて懇願するまで、追い詰める」  陽人が槐の首元に噛み付いた。  うっすらと血の匂いが滲む。  陽人の浮いた体を包むように抱き締めた。 「俺が陽人に泣いて懇願とか、すると思う?」 「しないだろうな。だから、するまで、追い詰めるんだ」  陽人が顔を上向けて、槐に迫った。 「とりあえずは僕に、もっと抱いてと言わせてみたらどうだ?」  陽人が自分の腰を持ち上げて、槐の腰にぶつける。  挑発的な行為に身震いした。 「俺じゃなきゃイケない陽人になっちゃうけど、いいの?」 「出来るものなら、やってみろ」  槐は再び腰を緩やかに動かし始めた。 「素直に気持ち悦くしてって言わない陽人が好きだよ」  陽人の腰を浮かせて抑えると、強く打ち付ける。  声を我慢しようと口を抑える陽人の手を、やんわり剥がした。 「我慢しなくていいよ。声、聞かせて」 「嫌だ。僕の喘ぐ声が好きなんだろ、絶対聞かせない。んっ、ぁっ」 「我慢しようとして漏れちゃう声も、可愛いよ」  中を強く擦るだけで、陽人の奥にすぐに届く。  奥を突く度に小さく漏れる声に、興奮する。 「ぁ、ん、ぁぁっ、は、ぁぁっ」  狭い部屋に陽人の小さな喘ぎと肌と肌がぶつかる乾いた音だけが響く。  陽人の手が槐の手首を掴んだ。 「僕じゃなきゃ、槐は本当の快楽を得られない。これからもお前は、僕しか愛せない。僕に縛られて生きるんだ」  陽人が槐の顔を引き寄せる。  舌を入れ込み、深いキスをされた。 「最高の呪詛だろ」  そう言って得意げに笑った快楽塗れの顔に、身震いするほど惚れた。  きっと陽人は槐が自分と一緒に来ないと知っている。  来なければ、将来は互いに敵になると気付いている。  だからこそ、そんな呪いじみた言葉を吐いた。 「その呪詛は、きっと一生解けない。解けなくていい。好きだよ、陽人。今までも、これからも俺が好きなのは陽人だけだから」  呪詛を返すつもりで、槐は陽人に深く口付けた。 「陽人も同じくらい、俺に蝕まれて生きるんだよ。俺が陽人を殺すまで、ずっとね」 「お前に殺されなどしない。その前に僕がお前を手に入れる。覚悟しておけよ」  槐よりも更に深く、陽人が口付けを返した。  陽人がかけた呪詛は、もうとっくに槐を蝕んでいる。  同じ呪詛に陽人も蝕まれればいい。  集落を出たら、敵同士になるとわかっていても、わかっているからこそ。  この夜が最後の逢瀬になったとしても、呪いが二人を繋ぎ続けるように。  槐は深く深く、陽人の中に自分自身を流し込んだ。

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