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第51話 キスマーク付けていい?

 桜介さんの口の中、頭の芯が痺れたみたいに気持ち良かった。拙くて、辿々しいのに、それが、本当に、やばいくらい。 「あっ……」  ねぇ、めちゃくちゃ気持ち良くなってたのにさ。  そんなふうに俺のをフェラしながら、興奮してたとか。  やばいんだけど。 「翠伊くんっ」 「うん」  興奮、しちゃうじゃん。 「今日の、綺麗な色」 「! ぁ、うん。あの色も素敵だったから、これ」 「刺繍、前のみたいにすごいの?」 「あ、うん。これも、すごい、キレ……」 「見たい」 「っ」  真っ赤になりながら。  きゅっと濡れた唇を結びながら。  押し倒された桜介さんがパジャマの端を僅かに握って、チラリと上にずらしてくれる。  まるで花束みたいに綺麗な花が刺繍されていて、それからヒラヒラしたリボンが腰を伝って、後に――。 「さっき、ちらっと見えた」 「ぇ」 「チョウチョ」 「あ、わっ、あっ、ちょっ……ひゃぁ」  腰を掴んで、後ろ向きにさせると小さな悲鳴をこぼしてる。 「は、恥ずかしいよ……翠伊くん」  甘い声がポツンと不安げに溢れて。  桜介さんが反応する度に、尾てい骨の辺りのちょうちょの刺繍がひらりとはためいてる。それから腰できゅっと結んであるリボンが揺れて。まるで解いてって誘惑されてる気分になる。 「あ、ひゃっ」  そのリボンと素肌の間に指先を滑り込ませて、敏感な肌にキスをすると、鼻先が激突するくらい飛び上がった。 「あ、ごめっ、鼻っ」 「へーき」  ちょっと、鼻んとこ痛かったけど。可愛くて、おかしくて、笑った。 「あ、あ、あっ、あのっ、ひゃああっ、あ、や、そんなのしちゃ、ダメ」  お尻に留まってるみたいなチョウチョにキスをして、そのまま、小さく、その近くに歯を立てた。唇できつく、瞬間的に吸い付くと、赤い印が残る。肌が白いからか、一度、吸い付くだけで綺麗にキスマークがついた。 「あ、の」  なんだろ。  驚く。 「キスマ、付けてい?」 「ひゃえ?」  まさか、自分がそんな「印」みたいなのを付けたがるタイプだったなんて。 「ここ、あとで、怒られるかもしれないけど、見えないところにだけ付けるから」 「あっ、何、わかっ」  桜介さんが慌てながら振り返ろうとしたけど、肌へのチリつくようなキスにビクッと跳ねて、腰のチョウチョを跳ねさせた。 「何、してっ、あ、あ、あ」 「キスマーク」 「キ……ぁ、それって」 「桜介さん、肌が敏感なだけじゃなくて、白いからかキスマがすぐつく」 「ぇ……?」 「ほら」 「わぁっ」  どうすると付いて、キスマがどんなものなのか教えるために、一度、向かい合わせに座り直してもらって、その脚の間に寝転がるように陣取った。桜介さんはまさか俺がそんなところに顔を近づけるなんて思ってなかったのか、すごく驚きながら、手を自分の股間へと伸ばした。女性ものの下着じゃ窮屈そうに膨らんだ、前を真っ赤になりながら覆い隠そうとしてる。 「ひゃあああっ」  俺はそんな慌ててる桜介さんの脚の付け根に、一つ、キスをした。 「キスマーク」 「……ぁ」  唇を離すと、そこに小さな赤い痕が残ってる。 「これ」 「付けていい?」  貴方に印をつけたいんだ。 「ぁ……」  俺のですって、印。小さなヤキモチをこれで宥めさせて。 「うん。いいよ」  桜介さんが真っ赤になりながら、目を潤ませて、濡れた唇で甘やかにそう呟いてくれた。 「ど、ぞ……ぁ、あン……」  カリって、歯を立てて、また一つ桜介さんの太ももの内側、際どいところに赤い印がくっついた。 「ひゃぁ……ぁ、あ」  足の付け根に続けてキスをすると、震えながら、気持ち良さそうな顔をしてくれる。 「ぁ……翠伊くんっ」  張り詰めた前を恥ずかしそうに隠してたその手を取ると、細い指先がきゅっと一生懸命に掴まってくれる。まるで、ねだるように指先が俺にしがみついてくれる。 「あ……翠伊くんっ」 「桜介さん」 「ひゃあっ」  起き上がって、次に印をつけたのは胸のところ。 「あっ、ん」  桜介さんの声の糖度が増した。その声に、喉奥が蜂蜜でも飲んだみたいに、ちょっとヒリヒリしてきて、ゴクって熱を飲み込んだ。 「翠伊くん」  ほら、めっちゃ甘い。  名前を呼んだ桜介さんが恐る恐る俺にキスをしてくれて、脚をそっと開いてみせた。胸に一つ、それから、足の付け根にはいくつも、赤い印をくっつけた身体で。綺麗なランジェリー姿で、まるでおねだりをするみたいに、脚を開いて。 「後ろ、向ける?」 「……う、ん」  ゆっくり、真っ赤になりながら、後ろ向きになると、そのまま腰を高くあげるように足を閉じて、手をついた。 「こ、こう……?」  やっばい。 「すげ……」 「ひゃあ……ン」  ゾクゾクする。 「あぁっ」  お尻にもう一回キスをして、それから桜介さんの背後に膝を立てて、陣取ると、さっきこの人にたくさん気持ち良くしてもらって満足したはずのそれが熱を溜め込んで、もう、やばくて。  ローションを手に取って桜介さんの中に、それから、俺のにもしっかりと塗りつけた。 「あっ翠伊くんっ」 「待って、もう少し」 「あ、あ、あ、もぉ……」  頭がクラクラする。桜介さんの中が指でさえ気持ち良くしようと、ぎゅっと、しゃぶりつくから。 「翠伊くんっ」  早く。 「あっ、ぁ……」 「桜介さん」  貴方の中に入りたいってことで頭の中がいっぱいになっちゃうじゃん。 「ぁ、ああああっ」 「っ」  熱に張り詰めたそれで貴方の中を抉じ開けた瞬間。 「あ、ぁっ……」 「桜介さん」 「あ、ひゃンっ……あ、ン、気持ちい」 「っ」 「あ、あ、翠伊くんの、が、すごい、気持ち、ぃ」  そう言って、腰のところのチョウチョが舞うよう動きに合わせて跳ねるのが、やばくて、気持ち良くて、興奮する。  熱で頭の芯が痺れてく。 「あ、翠伊くんっ」 「っ」  ごめん。ちょうちょ、潰しちゃうかも。そう呟いて、後ろからきつく抱き締めながら、奥をつくと。 「もっと、翠伊くん」  そう言って、貴方が俺の腕に一生懸命しがみついてくれた。

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