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第78話 秒です。
リンゴのワイン、美味しかった。甘くて、ジュースみたいで。だから俺もけっこう飲んだけど。桜介さんはちょっと飲みすぎたでしょ?
「ん……」
口の中、熱い。
「あ、ふ……は、わぁ……ン」
唇を重ねて、舌を絡めると、桜介さんがぎゅっと俺の腕にしがみついてくれる。
「ん、ン……ン、ん……ぁ」
触れ合ってた唇を離すと、途中になったキスに、不思議そうに桜介さんが首を傾げてる。
「翠伊、くん?」
濡れて、赤くなった唇を薄っすら開いて、コクン、って溢れた唾液を飲み干して。
「キス、最初より慣れたなぁって思って」
最初は舌を絡めるキスをすると、びっくりして肩をすくめてた。応える舌も辿々しくて。翻弄されてるって感じがしたけど。今は、ちょっと桜介さんから絡ませてくれる。その舌先がすごく柔らかい。最初のキュッと緊張して力んでた感じがなくなって、一生懸命さが消えたっていうか。
「気持ちい?」
ちょっとだけ唇を離して尋ねたら。
「ぅ、ん」
小さな声でそう答えて、素直にコクンって頷いてくれる。真っ赤になりながら。
「翠伊、くん……」
ベッドの上で膝を抱えるように座りながら、もじもじと足の指を自分の手で隠すように握り締めてる。「あの……」そう呟いてから、ゆっくりと、俺の足の間に滑り込んで、膝立ちになった。
「今日、ね。これ、にした」
「?」
そう呟いて。ルームパンツを脱がせて欲しそうに俺の肩に手を置いてる。俺は手をこの人の細い腰に置いて。ルームパンツの腰紐をするりと解いた。
細いから、それだけで少しルームパンツはずり下がって、滑り落ちたそうに細い腰骨のところにひっかかってるだけになる。だから指先を引っ掛けてあげるだけでするりと脱げた。
「あ、の時の、だよ」
「……ぁ」
赤い紐が見えた。それから真っ赤な薔薇の豪華な刺繍が桜介さんの膨らみを覆うように前を彩って。細い紐は真っ白な肌に少し食い込みながら後ろに走って、結ばれて、前のある薔薇よりもずっと小ぶりな薔薇の刺繍がいくつもブーケみたいに装飾されてた。
あの日、俺のところのベランダに飛び込んできた真っ赤なランジェリー。
「これ……」
そっと触れないと、レース編が破けてしまいそうな繊細さで。
ベースの生地がシルクだから、肌触りが心地よかったっけ。
「すごいね」
「あ、翠伊くんっ、やぁっ」
「めっちゃセクシー。履くとこんな感じなんだ」
「あ、あ、あっ」
こんなドキドキするやつだったんだ。繊細すぎて、手に取っただけじゃどんなふうなのかわからなかったけど。
腰紐、エロいよね。真っ白な肌に食い込む感じがさ。
「やぁっン」
興奮する。
「あっ、ひゃっ」
ルームウエアの上を捲り上げて、もうちょっとツンとしてる乳首にキスをした。
まだ薄っすらと前につけたキスマが残ってる白い肌に上書きするみたいに、また、赤い印をつけながら、期待してそうな乳首の先端に唇で触れた。
「っ、ン」
口に含むともうコリって硬くなってる。敏感で、キスに嬉しそうにしてくれる素直な身体にたっぷりと口付けて。
「あ、あ、あ、それっ」
もう片方の乳首は指でカリカリ引っ掻いて。
「ひゃうっ」
親指と、中指で摘みながら、その先端を人差し指の爪で刺激すると腕の中で飛び上がるように感じて、ぎゅっと俺の首にしがみついた。
「あ、あっ」
気落ちいいことにすごく素直な乳首はもう両方とも、尖って、赤くて、なんとなく甘いような気さえしてくるから、ずっとこうやって口に含んでたくなる。
「翠伊くんっ」
でも、キスに嬉しそうに胸が気持ちよさそうになった頃には、さ。
「うん……」
「あっ、翠伊くんっ」
桜介さんの身体はすごく欲しがりになってる頃でもあって。
「僕、してもい?」
その言葉にごくりと喉が鳴った。
「あの、今日、僕の誕生日だから、僕の好きにしちゃ、ダメ?」
ほんと。
「あ、の……翠伊くんの」
この人って、無邪気に小悪魔だよね。
「あ……おっき……」
俺のを服越しに撫でながら、そんなふうに呟いて嬉しそうにするんだ。
「あ……」
俺の足の間に陣取って、ルームパンツの下を引っ張り下げてさ。
「……ん、あ……ン、む」
跳ねるみたいに飛び出したそれに鼻先を軽く当てられて、眼を細めて、そのすでに硬くなってる先端にキスをしてくれる。さっき、俺が、可愛くて素直な乳首にキスをしたみたいに。唇で触れて、それから、丸い先端を口に軽く含んで。
「はむ……っ、ン」
しゃぶりついてくれる。
「っ、桜介さん」
キス、だけじゃない。
「っ」
「ん、ン……ン、あ……ン、く」
口でするのも、慣れて、クラクラするくらいにこの人の口の中で溶かされそうで。桜介さんの柔らかい唇と濡れた舌に絡め取られると、秒で、落とされそうになる。
「っ、桜介さんっ」
フェラに蕩ける。
「ン……ん」
「っ、それ、やばい」
柔らかい舌に先端を絡め取られて、頭の芯が痺れるくらいに気持ちいい。
「ン、ンンっ翠伊くんっ」
「ちょ、桜介、さんっ、も、やばいっ」
刺激的な真っ赤なランジェリーに、興奮して赤い頬。真っ赤に潤んだ唇でご馳走でも頬張るみたいに口いっぱいに俺のしゃぶりながらさ、そんな顔しないでよ。
「っ、離して、桜介さんっ」
「ン、や……ら」
「っ」
「このまま、らひて……欲シ」
「っ」
ねぇ、桜介さんも、やっぱリンゴのワイン飲みすぎたでしょ?
「っ、っ、っ、桜介、さんっ」
「っン、んんんんっ」
喉奥深くまで俺のを咥えた桜介さんの口の中が熱くて、やばくて。
「っ」
美味しいわけないのに美味しそうにしながら欲しがるこの人が愛しくて、秒で、落っこちた。
「っ、桜介さんっ」
酔っ払っていつもよりも甘くて熱くて、ランジェリー以上に刺激的なこの人に、やっぱ、秒で。
「あ、ン」
落っこちてた。
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