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第83話 ごちそうさま

 めちゃくちゃ妬いた。  もう、原さんと桜介さんの俺が入れない会話を聴きながら、めちゃくちゃ刺々しい気持ちになったし、ヘソなんて、脇腹まで移動しちゃうんじゃん? ってくらいにひん曲がったけど。  ――ヤキモチ、妬いてもらったった。ふふ  そう言って嬉しそうにする桜介さんに、笑えるくらい、呆れるくらいご機嫌は良くなってた。  ご機嫌で、桜介さんがお風呂入ってる間に納豆パスタを作って。ご機嫌なままそれを食べた。今、食べ終わって、食器を片付けてる最中。 「翠伊くん」 「?」 「あの……」  食器が洗い終わったら、俺もお風呂に入って、今日は、このまま、かな。夜遅くなっちゃったし。寝不足にさせて、今度こそ俺のせいで転ばせたりしたら、マジでへこむ。だから、今日は――。 「……」  お預け、かなって。  明日はノー残業デーだから。  今日は、我慢って。  そう思ってた俺の目の前にスッと立って、少し見上げるような角度でキスを、桜介さんがしてくれた。 「あの」  ただ触れるだけのキスだけど、桜介さんからしてくれるっていうだけで、どんなエロいキスをするよりも、理性がポーンって空高くに飛んでいく。 「今日は、まだ、誕生日に買ってくれたの、届いてないけど、でも、あの」  そして、無邪気に小悪魔なこの人が俺の手を握って、恐る恐る自分の背後、お尻のところへ押し付けた。 「これも、フリルが付いてて、その」  真っ赤になって、戸惑ってるけど、でも、その手はぎゅっと俺の手を掴んで、しっかり押し付けてくれる。フリルが布ごしでもわかるようにって。一生懸命に。 「ヤキモチ、すごく、あの嬉しかったから、その」 「桜介さんってさ」 「は、はいっ!」 「たまに破壊力すごいことするよね」 「え、えぇっ」  驚かないでよ。 「俺、今日は、遅くなっちゃったし我慢しようと思ったんだけど」 「あ」 「いただきます」 「あ、はい。あの」  こんな可愛いこと無邪気に言っておいてさ。「いただきます」そう言った途端に嬉しそうにするくせに。 「お願いしま、……ンっ」  深く濃くて、甘い、あまーいキス一つには、肩をすくめてしがみつく、そんな桜介さんの初々しさに思わず苦笑いになった。 「あ、やぁ……ン」  甘い声。 「ひゃ、あっ」  奥を突き上げると、桜介さんの声の糖度がぐんと高くなる。 「翠伊くんっ」 「うん」  手を伸ばすから背中を丸めると首に、その腕を回してぎゅっとしがみついた。まるで「捕まえた」って言ってるみたいな腕が愛しい。 「あ、ンっ……ン……っ……ふぁっ」  中の、桜介さんの気持ちいいところを小刻みに擦りながらキスをして、上顎の辺りを舌で撫でると、中がキュンキュンって締め付けくれる。 「翠伊くんっ」 「ね、桜介さん」 「?」 「また、今日もしてもいい?」 「? っ、わ、わぁっ……あぁ、ンっ」  抱き締めて。そのまま今度は俺がベッドに寝転んだ。繋がったまま体勢を入れ替えたら、中を俺のがぐるりと撫でて、甘い悲鳴が一瞬溢れて、それから、気持ち良さそうに肩をすくめた。 「あっ……ン」  上になって俺の上に跨った体勢。貴方が好きなように動く邪魔にならない程度に両手で細い腰を支えながら、ヤキモチなんかに嬉しそうにしたこの人を見上げた。 「桜介さん」 「あ、ン」  可愛い。もう腰がちょっと動いてる。 「桜介さんの好きに動いていいよ」 「!」  なんだか今日の桜介さんは俺のことずっと捕まえようとするからさ。  だから、捕まえられたままでいようかなって。 「桜介さんが気持ち良くなっちゃうとこ、見たい」 「あっ……ひゃ、あっ……あ、あン」  俺のお腹に手を置いて、拙い腰つきで、けど気持ちよさそうに、夢中で腰を揺らしてる。 「あっ、あっ」 「っ、桜介さんっ」 「あ、翠伊くんも、気持ち、い?」 「そ、りゃ」  中がしゃぶりつくみたいにうねるんだ。桜介さんの中ってどうなってんの? って思うくらい気持ちいいよ。ずっとこの中にいたいとか、けっこう思っちゃうくらい。 「最高に気持ちいいよ」 「! あ、嬉し、い、あ、あンっ……僕、も、嬉し、いっ、あ、あ、あっ、ここ、気持ち、いっ、翠伊くんの大きいので、中、いっぱいなの、気持ち、い」 「っ」  夢中でうわ言みたいに、桜介さんが溢してくれる可愛くて、やらしい感想にクラクラした。 「あ、あ、あっ、アンっ……あ、ン」  すご。  やば。 「ひゃぁっ……あ、翠伊くんっ、翠伊くんっ」  夢中になって腰を振りながら、甘くて切なげな声が俺の名前を呼んでくれる。必死に、何度も。それがたまらない。  やらしい濡れた音をベッドの上で鳴らしながら、桜介さんのがフリルの可愛い下着の中で窮屈そうに張り詰めてる。それを撫でてあげたくて、下着越しに触れると、中が、やばいくらいに締め付けてくれる。狭くて、きつくて、隙間なんてないくらいにぎゅって絡みつく。  気持ちいい。  ねぇ、桜介さん。 「あっ、それ、らめっ……触っちゃったら、イッひゃうっ」  舌を絡ませながら、ヒラヒラしているフリルが濡れるくらい、感極まってる桜介さんのをぎゅっと握って。 「あ、あっ、すい、クンっ、も、らめ、イクっ」 「うん」 「あ、らめ、らっ……めっ、イっひゃうっ、あ、すいくんっ」 「うん」  ヤキモチ、なんてしたこと、あんまない。付き合ってた子の元カレとかに遭遇したことあったけど、あんなふうに不機嫌になんてならなかったよ? トゲトゲも出したことないし、ヘソ、曲がらなかったんだけどな。  貴方には、違ってた。 「俺も、もうイきそう」 「あ、一緒がいっ、あ、あ、お願いっ、一緒、にっ」 「うん」  キスをして、貴方のびしょ濡れになってるそれをフリルごとぎゅってして 「あ、イクっ、イッちゃうっ、あ、あ」 「桜介さんっ」  ぎゅーって、貴方が俺を捕まえながら。 「っっ、っ」  二人で一緒にイッた。 「翠伊くんっ」  俺のことを抱き締めながら、甘い声でまた名前を呼んでくれるのが可愛くて。 「大好き、です」  それだけでも充分なのに、小さな声でそんなことを囁くから。 「翠伊くんっ」  おねだりするみたいイった余韻にクラクラしてる俺にキスするから。 「おかわり」 「ひゃへ?」 「いただきます」 「ぁ、うんっ」  ね? ほら。やっぱり。 「う、んっ」  破壊力、すごいじゃんって、笑いながら、今度は俺が貴方を捕まえて、ベッドに押し倒してた。

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