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第99話 メロメロ

 こんなふうになることあるんだ、って、いつも俺が俺に驚くくらい、好きでたまらない人がいる。性別とかも全然関係なくて、同じ男なのに、その人が笑ってるとそれだけで嬉しくなっちゃうくらい、溺愛してる人。  ねぇ、知ってる? 「溺愛」って、溺れるくらいにその人のこと愛しくてたまらないって書くんだ。  そんなにめちゃくちゃ好きな人が、俺としかしたことのないキスをしてくれる。 「ン……あふっ……っ」  反応してくれると、ホッとしてた。よかった、できるって。 「あっ……翠伊くんっ」  今日もまたできるって。 「ひゃぅっ……ン」  ねぇ、あんま、そんなこと言わないほうがいいよ。止まらなくなるから。しかも今日は「特別な日」だから、きっと全然さ、マジで止まれない自信があるんだ。 「桜介さんの中、トロットロ」 「あ、だって、翠伊くんの指、気持ちぃ、ン、あっ」  中の、桜介さんが好きなことろを指で撫でながら、首筋に一つキスをした。少しきつく吸い上げると、指を二本、咥えてる孔がキュッて、その指を締め付けてる。この締め付けがやばいんだよね。いつも、俺が貴方の中でそうされてるのを思い出させて、余計に熱が上がってくる。 「翠伊くんっ」  乳首も、ってせがむみたいに服を捲り上げてくれるのがえっちで可愛くて、口元が緩むんだ。自分からそこにキスしてなんておねだりするんだよ?  ヤバいでしょ?  メロメロにならないわけ、なくない?  だから、その服を捲り上げてくれて、愛撫の手伝いをしてくれる手に「ありがとう」のキスをしてから乳首に唇で触れた。 「ひゃ、ぅ」  気持ち良さそうに甘い声を上げて、それから、桜介さんがまるで自分から愛撫をして欲しいみたいに、背中をしならせて、唇に押しつけてくれる。それを優しく甘噛みしてあげると。 「やぁ……ン」  声の糖度が上がるんだ。乳首へのキスに応えるように鼻にかかった声をあげて。 「あ、あぅっ……あっ、翠伊くんっ」 「桜介さん、溶けちゃいそう?」  コクンと頷いてくれた。 「指、気持ちぃ、よ」 「よかった」 「あ、ひゃぁ……あ、ン」  もっと溶けちゃうそうになってほしくて、キスをしながら、中を撫でる指を引き抜いて、そのままブルグレーのレース越しに撫でてあげると真っ赤になってくれた。 「あ、ダメ」  小さな声。  それに少し震えてる。 「あ、あ、待っ……っ、ン、ん、あ……の」 「?」 「これも、ね? いつも、すごくドキドキして、た」  何を? 「女の子、には、その、ないでしょ? だから、その、あの」  真っ赤っか。  それに、瞳が潤んで濡れてる。  あぁ、もう。 「いつか、やっぱり女の子がいいってなるんじゃないかって、僕が、ランジェリーしてなかったら、その、その気になってくれないじゃないかって、だから、その、ランジェリーは僕の趣味で、それに翠伊くんが付き合ってくれてるだけなのに、もうパンツないと怖いとかも思っちゃったりして」  不安な時とか、躊躇ってる時は、桜介さんはいつも大急ぎで言葉を並べようとする。 「我儘だよね。僕の変な趣味に付き合ってもらってるのに、そんなこと考えて」  不安になんてならなくていいのに。 「我儘じゃないよ。それに変、なんて全然思ってない」  そんなこと思ってたんだって、わかって、好きだなって気持ちがただ増すだけなのに。 「えっちで綺麗なランジェリーがないと俺がその気にならないって思ったの?」 「ぅ、ん」  そんなわけないのにね。  こんなに好きになったの、初めてなのにね。  不安そうにしがみつかれるだけで嬉しいくらい、貴方にどハマりしてるのに。 「桜介さんの裸も見てもいいの?」 「!」 「なんなら、きっと、裸の方がヤバいと思うよ? 止まらないかも」 「あ、待っ」  そっと繊細なレースをあしらった綺麗なランジェリーの腰紐に指を引っかけた。 「っ」  ランジェリーって言葉は宝石のジュエリーから来てるんだってさ。あのサイトに書いてあった。ブランディシのサイトに。  その宝石を外して、素の貴方と、なんて。 「や、見ちゃ……」  最高。 「翠伊くんっ」  俺の服だけ身に纏って、その服を首の辺りまで捲り上げて、キスマをたくさんつけたヌードな桜介さんとか。 「ね?」 「……ぁ」 「見て」  貴方がキュッと唇を結んだ。 「ガチガチ」 「ぁ……すごい」  起き上がって、手を伸ばしてくれる。優しい指先が俺のに触れてくれるだけで、目眩がするくらいに興奮した。 「ね? だから、心配するなら、自分のこと心配しなよ。桜介さん」  触れて、ガチガチに硬くなった熱の形をなぞられるだけで、もうヤバくて。 「あの、でも……僕も」  固結びをしていた唇が先端に触れる。 「翠伊くんと、たくさん……っ、ン、した……ぁ……ン……っ」  触れて、そのまま口に含まれると、なんか、蕩けた。溶けそうに熱くて柔らかい頬の内側はたまらなく気持ち良くて。 「ン、ん」  ほら、また、俺が俺に驚いた。  セックスの端から、キスで始まるところからずっと好きが溢れて止まらないなんてことあるんだって。  こんなふうに気持ち良くしてもらえて、頭の芯が痺れるくらいでさ。こんなふうになったことないよ、マジで。  たまらないなんて。  毎日だって、したいなんてさ。もう。 「っ、桜介さんの口の中、ヤバい……」 「ン」  メロメロじゃんって、俺が俺に、驚いた。

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