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おまけ 僕の好きな人

 僕にはずっと片想いをしていた人がいる。  とってもかっこ良くて、女の子にすごくモテて。挨拶の時に向けてくれる笑顔が太陽みたいな人。  そんな人と今、こうして恋人でいられて、一緒に住む約束というか計画まであったりして、本当に毎日が夢みたい、なんだ。夢の中ではたくさん妄想してた。翠伊くんと可愛い女の子が並んで歩いてるところを見かけては、いいなぁ、羨ましいなぁって思ってた。  あの翠伊くんの彼女でいられて。  翠伊くんに触ることができて。  独り占めとかもできたりして。  羨ましいなぁって。  そう頭の中で羨んでいた、妄想の翠伊くん。 「えぇ……ほ、本当にするの?」 「うん」  ひぇぇ……えぇ。 「見たい」  ひぃぃぃ。  でも。 「ね?」  でもでも、僕も見たい。 「桜介さんがひとりでしてるとこ」  翠伊くんの一人でえっちなことしてる時の様子を。  想像しては、その、なんというか、おかずに、したりしてたから。 「桜介さんはベッドの上にいて」 「俺はここね」  心臓がぴょんっと跳ねた。僕は、最近お気に入りのピンクベージュの霞草レースが綺麗なTバックにした。尾てい骨のところに大きめのリボンがあって、そのリボンの中心に白いボンボンがくっついてるのが、なんというか、うさぎのしっぽみたいでちょっとえっちな気分になれるかなって。下はそのランジェリーだけ。上は翠伊くんに借りたパジャマを着てる。翠伊くんのおうちの素敵な柔軟剤のにおいがして、心臓がどきどきと高鳴るんだ。  だって、だってだって。 「今日の下着、それ最近のお気に入り?」 「う、ん」 「俺もそれ好き」 「っ」  わ、本当? 嬉しい。翠伊くんにも気に入ってもらえて。 「お尻のとこのボンボンがなんか」  そう言いながら、翠伊くんが笑ってくれたから、お腹の下の方がきゅぅんって締め付けられて、甘やかだけど、なんだか切ない気持ちにさせられる。とても不思議な気持ち。 「えっちで」  そう言って、目を細めて僕を見つめる翠伊くんに、ほら、なんだか、じわりと何かが滲んでく。  もうね。  こうなっちゃうとダメなんだ。 「あ、翠伊くんっ」  こうなっちゃうと、もう、なんて説明したらいいのかわからないけれど、トロトロに蕩けたくて、クチュクチュに奥まで掻き混ぜられたくてたまらない気持ちになる  翠伊くんのことを独り占めできるのなら、翠伊くんに奥までいっぱいにしてもらえるのなら、キスをしてもらえるのなら、もうなんでもしたくなる。 「あっ」  どんなことでもしてしまいたくなる。 「ひゃぁ……ぁ」  たとえば、翠伊くんの服をおかずにして一人えっちをしてるところを見せるのだって、全然。 「あ、あ、ン」 「桜介さんって先っぽ好きなんだよね」 「う、ん、好きっ、あ、先っぽ、好き」  むしろ全然見せてしまうんだ。僕のやらしいところを見て、翠伊くんに興奮してもらえたら最高って思ってしまう。だから、自分の好きな先っぽをいじりながら、今、着てる服の裾をぎゅっと自分の鼻と口に押し付けた。 「はぁっ、ン」 「っ」  ほら、翠伊くんが見てる。 「あ、あ、見て」  先っぽを手のひらでクチュクチュ撫でてるところを見られてる。 「うん、桜介さんのやらしいとこ見てる」  そして、見ながら、翠伊くんがルームパンツの下を太ももの辺りまでズリ下げて、下着も下ろした。跳ねるように飛び出たそれの大きさにクラクラしちゃうんだ。  いつも、こんなに大きいのが僕の中に入っちゃうなんて、すごい。でも――。 「あ、あっ」  でも、欲しくなっちゃう。 「お尻は触らないの? 一人の時」 「あ、ン、触るっ、触り、たいっ」  僕のここに、あの翠伊くんのが欲しくなっちゃう。  あ、そうするの、好きなんだ。翠伊くんも先っぽ、するの好きなんだ。かっこよくて、えっちで、ドキドキする。だってあの翠伊くんが、あんなにかっこいい人が僕を見ながら、その、それ、扱いてるなんて。 「どんなふうに触るの? いつも」 「あ、ここ、に」  そう呟いてからお尻の方に続いてるリボン状の布を指に引っ掛けて脇にずらすと、小さな孔にローションを纏わせた指を添えた。  見られてる。ね、ほら、翠伊くんが。 「あ、ン……ぁ、あぁっ」  僕が、僕のお尻に指を挿れるところを見てる。 「こうして、指、ぁ……ひゃあっ……ああっ」  ど、うしよう。すごく興奮する。 「ふ、んんんっ、ン、ふ」  それに翠伊くんの匂いもする、から。 「あ、ひゃっ、ン」 「桜介さん、やっばい……」 「あ、あ、あ、や、恥ずかしい、ょ、あ、なのにっ、指、気持ち、ぃ」  わ、どうしよう。 「翠伊くんが見てるから、ずっと、気持ち、い」  指、止められない。感じちゃって、僕のから蜂蜜みたいにとろとろした液が伝って、落ちて、そのもっと内緒の場所で指まで濡らしちゃう。 「あ、あン」  こんなのすごくすごく恥ずかしいのに。 「桜介さん」 「あ、翠伊くんの、すごい」  恥ずかしいところを翠伊くんが見ててくれる。見ながら、目の前で翠伊くんが自分のを片手でぎゅっと掴んで扱き始めてくれるなんて。 「あ、あ」  僕のよりずっと大きくて太いのが、少し血管の浮き出る逞しい手に掴まれて、強く扱かれて。 「あ、翠伊くん」  僕も欲しい。 「翠伊くん」  僕自身も知らないような甘い声で大好きな人の名前を呼んだら、優しい低温が返事をしてくれた。それだけで指で慰めてる中がキュンキュンして切なくて。 「翠伊くん、こっち」  はしたない、けれど。 「桜介さん」 「あ、来て、僕」  ベッドに乗り上げてきてくれた彼の手を引っ張って引き寄せた。 「見……て……」  恥かしくて蒸発しちゃいそうなのに、溶けちゃいそうなのに。でも、翠伊くんが興奮してくれるなら、僕のこと欲しくなってくれるなら、なんでもしたくなっちゃうんだ。 「あ……」  引き寄せて、抱きつくと、そのままベッドの上に寝転んでもらった。僕はそんな翠伊くんを捕まえるように上に乗って、キスをした。  熱くて硬いそれをぎゅっと握る手に、指にキスをしてから、その握られてるものにもキスをして。 「……ン、む」  口いっぱいに頬張った。  見たいんだ。 「っ、桜介、さん」  妄想してた、ドキドキしちゃう翠伊くんの表情を、気持ち良さそうな吐息を今、本当に独り占めできてるって嬉しくて、幸せで、たまらないんだ。

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