8 / 17

8.

「さっき小口さんが言っていたと思うけど、私からもお願いしてもいいかな⋯⋯? 同じものが好きみたいだし、遊ぶことだって私よりも楽しいと思うし⋯⋯」 語尾が段々と小さくなる。 まるで自分なんて必要ないという言い方だった。 だってこの人は大河くんの母親じゃないの、と思ったけど、申し訳なさそうな顔をする母親にその疑問は自分の胸に留めた。 さっき小口さんが言っていたように、同い歳の子の方が遊びやすいということにしておこう。 「わかりました! ぼくがなかよくしたいので、またあそびにきますね」 お任せくださいという意味で満面な笑みを見せた。 大河くんの母親はそんなぼくを見て、少しは安心したようだ。笑みに似た顔を見せた。 大河くんも笑ったらこんな顔をするのだろうか。 「では、しつれいします。たいがくんもばいばい」 それぞれに軽くお辞儀した後、大河くんには手を振ってみせたが、振り向こうとはしなかった。

ともだちにシェアしよう!