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8.
「さっき小口さんが言っていたと思うけど、私からもお願いしてもいいかな⋯⋯? 同じものが好きみたいだし、遊ぶことだって私よりも楽しいと思うし⋯⋯」
語尾が段々と小さくなる。
まるで自分なんて必要ないという言い方だった。
だってこの人は大河くんの母親じゃないの、と思ったけど、申し訳なさそうな顔をする母親にその疑問は自分の胸に留めた。
さっき小口さんが言っていたように、同い歳の子の方が遊びやすいということにしておこう。
「わかりました! ぼくがなかよくしたいので、またあそびにきますね」
お任せくださいという意味で満面な笑みを見せた。
大河くんの母親はそんなぼくを見て、少しは安心したようだ。笑みに似た顔を見せた。
大河くんも笑ったらこんな顔をするのだろうか。
「では、しつれいします。たいがくんもばいばい」
それぞれに軽くお辞儀した後、大河くんには手を振ってみせたが、振り向こうとはしなかった。
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