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9.
朝起きた時からどう仲良くしようか考えていたぼくは、うんうん唸っていた。
「伶介、『ハニワのだいこうしん!』が始まるよ」
「はーい」
考えるのは一旦置いておこう。
今日はどの国を壊しにいくのかとわくわくとした気持ちで、リビングにアニメを観に行った。
今日はイタリアという国らしい。常に上げている手にはピザを持っていた。
いつものようにハニワに闘いを挑む人達を観ていた時、疑問に思った。
白い布らしいものを身に纏っていたが、それが男の人でも女の人でも同じような服装をし、しかし丈の長いスカートのようなものを男の人も身につけているのも違和感があったし、ある人は先のとんがった棒を掲げて走っていた。
オリンピックの種目にそれに似たようなものがあったような。
「まま、このひとたちのふくへんなんだけど、これなに?」
「この人達? ⋯⋯あぁ、古代ローマ人の格好をしているのかもね」
「こだいろーまじん?」
首を傾げた。
すると母はこう答えた。
「イタリアにローマっていう場所があるのだけど、その場所に大昔『古代ローマ人』って呼ばれていた人達が住んでいたの。多分その服はその時に着ていたものね」
「むかしのひとが、はにわとたたかっているんだね」
「そうね。でもこのアニメ、ハニワが死んだ人の魂を持っていく役割があるみたいだから、理屈としては合ってるわよね⋯⋯」
ぼくに対して言っているのかと思った呟きは独り言だったようで、言葉にして頭の中で整理しているような真面目な顔をしていた。
まだ死ぬということをはっきりと分かってないぼくは、ハニワの本当にしたいことが分からずじまいで、建物をよけずに壊しに行くさまが理由なく面白いだけで観ていた。
今もなぎ倒しているさまを観て、面白くて笑っていた。
たいがくんもみているかな。
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